【漫画】新幹線に乗っていたら…謎の世界へ 案内人とともに“扉”を開けていくと?「気味が悪く綺麗」「鳥肌立った」
突然、不思議な世界に迷い込んだ主人公。自らを「案内人」と呼ぶ、謎の存在と出会います。不思議な世界に飲み込まれないよう、「扉」までの案内を務めてくれるそうです。理解の追いつかない状況に戸惑いながらも、案内人についていくと……? 作者のおなや れおさんにお話を聞きました。
「案内人」とともににたどり着いた場所とは?

新幹線に乗り、どこかへ向かう主人公。しかし、行先を思い出せないと悟った瞬間に自分の容姿や窓からの景色がすべてなくなった不思議な世界に迷い込みます。すると目の前に自らを「案内人」と呼ぶ、謎の生物が立っていました。
これは「夢か?」と聞くと「現実」と返されます。さらにここから出るか、この世界に取り込まれるかを選んでと言われます。戸惑う主人公をよそに、案内人は次々と現れる扉を開けて不思議な世界の奥深くに入っていきます。ついていくことにした主人公でしが、扉の先に広がる景色は現実とはかけ離れたもので……?
おなや れおさん(@salmomomon)による創作マンガ『無題2024』がX(旧:Twitter)上で公開されました。いいね数は6.2万を超えており、読者からは「なんて気味が悪くて綺麗なマンガ。独特なコマ割りなのに読みやすくて鳥肌立ちました」「世界観が自由すぎて読んでいて没入しちゃいました」「どれだけ孤独でもそれまでの人生で培われた体験が背中を押してくれる、そういうエールを感じました」などの声があがっています。
作者のおなや れおさんにお話を聞きました。
ーー今回の『無題2024』のマンガを描こうと思ったきっかけや経緯、作品を通じて伝えたかった想いについて教えて下さい。
『無題2024』を描いたきっかけは、大学の卒業制作の発表作品なのですが、企画段階で周りの子がキャラクターやストーリーなどに焦点を置いた商業的なマンガを目指していたのを見て、「自分は被らないマンガを作ろう、目立つものを作ろう!」と、商業ではなかなかできないような実験的な表現を取り入れて差別化を図ろうと思い、「まんがあそび」をテーマに制作に取り掛かりました。
ただ、「まんがあそび」だけだと芸術性が高すぎてマンガとしての体験を損なってしまいそうだったので、誰もが抱える明確な形のない「不安」をもうひとつのテーマとし、道も出口も見つからない夢のような空間を冒険するお話になりました。
作品を通じて伝えたかった想いについては、不安を抱く人びとの背中を少し押すことのできる作品であれたらと思います。例えば、これまで友人や家族など、ある程度決まった駅を乗り継いで目的地に向かうことが主な生き方だった学生たちが、モラトリアムの出口に近付いていくにつれて抱えていく不安。利便性を押しつぶすほど新たな情報が錯綜する現代社会の大きさを前にただ佇むことしかできないような自分への不安など、今の時代キリがないほど不安を抱えて生きている人びとは多いと思います。
このマンガもそんな不安の数々が積み重なってできたものなので、どうかその不安に押しつぶされず、新しい場所へ向かうための推進力として一歩踏み出せるような、不安を抱える人びとへの応援のマンガであればいいなと思います。

ーー今作でこだわったポイントや、キャラメイクなどがあれば教えて下さい。
特にコマ割りあそびをこだわりました。テーマパークに来たみたいなマンガにしたかったので、マンガのなかに没入できるようにコマ割りを立体的な背景の一部として機能するように描きました。
しかし、単純にコマ割りを立体的にしただけだと非常に読みづらくなってしまうので、構図やセリフの位置などは従来のマンガ通り流れるように次のコマへ進めるように意識しました。この辺りはリプライでも好評で、読みやすいと言っていただけたのでよかったです。
ほかにも、案内人のキャラメイクはよかったと思います。作品全体の雰囲気に合うキャラクターにしたかったので、マスコットキャラクターみたいな愛らしさと、妖怪みたいな不穏さのどちらにも合うような造形にできたと思います。
案内人が複雑な分、主人公はシンプルでどこにいても分かりやすい見た目にしました。あと案内人の持っている時計が少しずつ進んでいくのもこだわりポイントのひとつです。
ーーコメント欄で、特に印象に残った読者の声について教えて下さい。
SNSの反響については非常にうれしく思いますし、同じくらい驚きが大きいです。今までSNSでは1ページや2ページ程度のマンガを掲載し、それがたくさんの方に読んでいただけることはありましたが、一次創作の50ページ以上の読み切りがこんなに多くの方の目に留まるとは正直思っていなかったので驚いています。
いつも見ていただいている方から、この作品で自分のことを知っていただいた方もいて、本当にありがたいと思いました。
印象に残ったリプライなどはいくつもあって読んでいて楽しかったのですが、なかでもマンガ内の風景に近い写真を載せながら「今からでも案内人に会えるか」と添えて投稿された引用RTを見たとき、この作品を描いてよかったなと心から思いました。
(マグミクス編集部)