「目が全然違う」「芸術的進化」 絵柄の変化や画力の向上が顕著な漫画家たち
現在は著名な漫画家も、デビューして間もない頃は、粗削りな画力や、現在とは違う絵柄で描かれていた作品も存在します。今回は、そんな初期と現在で、絵柄の変化や画力の向上が顕著な方々を振り返ります。
掲載誌に合わせて絵柄を変える努力

作品がヒットし広く知られている漫画家でも、デビュー当初はまだ画力が荒削りだったり、現在とは異なる絵柄で描かれていたりと、いま振り返ると驚くような変化を遂げているケースは少なくありません。
●石田スイ先生
アニメ化、実写化もされたヒットマンガ『東京喰種トーキョーグール』で知られる石田スイ先生は、画力が向上した漫画家として、よく名前が上がります。
もともと画力の高い作家でしたが、『東京喰種トーキョーグール』の連載中に急速に洗練されていき、同作の後半では、陰影のつけ方やカラーでの淡い色彩がホラーテイストの作風ともマッチして、まるで芸術作品のようになっています。
現在の石田先生は、「となりのヤングジャンプ」(集英社)で『超人X』をWEB連載中です。同作は、石田先生が自身で背景や仕上げを描いているらしく、圧倒的な画力だけでなく、構図やコマ割りに先生のこだわりが随所にみられる個性的な作品です。バトルものでコメディー要素も多く、『東京喰種トーキョーグール』とはテイストが違う魅力が楽しめます。
●和久井健先生
『新宿スワン』や『東京卍リベンジャーズ』などの「アウトロー」をテーマにした作品で知られる和久井健先生は、特に絵柄の変化が分かりやすい漫画家です。
初連載である『新宿スワン』では、リアリティを重視した迫力のある劇画タッチの絵柄が特徴で、少し泥臭い登場人物や舞台である新宿の雰囲気とマッチしていました。その後、青年誌「週刊ヤングマガジン」(講談社)から少年誌の「週刊少年マガジン」へと移った和久井先生は、2015年から始まった『デザートイーグル』を経て、2017年から『東京卍リベンジャーズ』をスタートさせました。
全世界累計発行部数が8000万部を突破(2024年4月時点)した『東京卍リベンジャーズ』では、少年誌の読者層に合わせて、かっこよさやかわいらしさを重視した絵柄に変化しています。それまでの作品と比べればその変化は一目瞭然で、たびたびネット所で比較され「同じ作者でここまで違うのか」「女の子が特にかわいくなってる」「キャラの目が全然違う」と、驚く声も少なくありません。
キャラがスタイリッシュに描かれるようになったことで、『東京卍リベンジャーズ』は「SF要素のあるヤンキーマンガ」という男性向けのジャンルながら、多くの女性から支持され大きな人気を獲得しました。
●松井優征先生
デビュー作である『魔人探偵脳噛ネウロ』以降、「週刊少年ジャンプ」(集英社)史上初の3作連続でアニメ化、単行本10巻以上という偉業を達成した松井優征先生は、連載とともに着実に画力を向上させてきた漫画家です。
『魔人探偵脳噛ネウロ』では、手足が長いキャラを活かしたクセの強い構図が多用され、個性的なマンガとして人気を博しましたが、基本的な画力の部分はあまり評価されていませんでした。続く、『暗殺教室』では、クセの強さは控えめで親しみやすい絵柄になり、奇抜な設定と合わせて大ヒットしています。主役である「殺せんせー」も丸みを帯びたデザインで、マスコットキャラクターのような人気を獲得しました。
現在連載中の『逃げ上手の若君』では、基本的な画力はもちろん、表紙などのカラー絵の美しさが格段に進化しており、「うまくて綺麗」「『ネウロ』と同じ作者とは思えない」など、画力を評価する意見が増えています。
(SU_BU)

