磯野波平の初期は「肝心な部分」が今と大違い? 約70年前の実写版観たら「えっ」
『サザエさん』の「磯野波平」には、さまざまなトリビアがあります。そのなかでもいちばん驚くのは、一番肝心な「名前」に関する部分でした。
60年前についに「肝心な部分」が原作に登場

『サザエさん』の一家の大黒柱「磯野波平」といえば、日本人なら誰もが知っているであろうキャラクターです。頭頂部に1本毛が残った髪型も込みで、いちばん覚えやすいキャラではないでしょうか。長谷川町子先生の原作でも最初から登場するキャラで、「TTK(都下禿頭会=とかとくとうかい)」の理事を務めていたり、過去に陸軍に入っていたことがあったりと、彼にはいろんなトリビアがあります。ただ、彼にはもっと根本的な部分で、驚くような事実がありました。
実は、基本的に家庭内で「お父さん」「おじいちゃん」と呼ばれている波平は、原作では途中まで名前が付けられていません。1969年10月5日の第1回TVアニメ放送では、エンドクレジットにしっかり「波平(CV:永井一郎)」のクレジットがあります。しかし、原作では1965年12月16日の朝日新聞掲載の回まで、波平という名前は出てきませんでした。この回では、酔っぱらった彼が「フネ」と「サザエ」を警察官と勘違いし、自分の名前が「いその波平」であること、さらに「月給税込七万円」であることを語っています。
それ以前では彼の名前は登場しておらず、wikipediaでは1965年から1967年にかけて放送された、江利チエミさん主演の実写ドラマシリーズに合わせて「波平」という名前が設定されたことが語られていますが、実はそれよりも前に「波平」という名前が出てきていました。
江利チエミさんがサザエを演じたのは1956年の映画『サザエさん』からで、その映画1作目から1961年の『福の神 サザエさん一家』まで10作にわたってサザエの父を演じたのは、数々の黒澤明作品への出演で知られる名バイプレイヤー、藤原釜足さんです。あの独自のヘアスタイルも、しっかり再現されています。
56年の1作目では、藤原さん演じる父が名前を呼ばれる場面はないものの、序盤に映る表札に「磯野松九郎」と書かれていました。家長であることを考えると、これが当時の波平の名前でしょう。また、公開前のポスターの資料では、彼の名前は「磯野アワビ」になっていました。
次の『続・サザエさん』(1957年)では、表札は「磯野松太郎」となっています。ただ、1作目はいま確認すると画質が荒い部分が多く、「松九郎」の部分も目を凝らすと「松太郎」にも見えました。
そして、7作目の『サザエさんの脱線奥様』から「波平」という名前が出てきます。ちなみに「フネ」もここで設定されたそうです。作中で名前が出てきたのは、フネが3作目の『サザエさんの青春』、波平が9作目『サザエさんとエプロンおばさん』のことでした。
いまの感覚では驚きですが、アニメが始まる前は、『サザエさん』といえば江利チエミさんの実写版というイメージだったそうです。これから振り返るなら、どこで波平、フネの名前が出てくるのかに注目して観ても面白いかもしれません。
(マグミクス編集部)






