『風、薫る』りんの義母・貞役の根岸季衣の「ひどすぎる姑」演技に称賛の声 モデルの人物はもっと酷いことをしていた
『風、薫る』の主人公のひとり・りんは、第2週でさっそく商家に嫁いだものの、夫からも姑からもひどい仕打ちを受けています。
夫以上に義母がヤバすぎた?

2026年前期の連続テレビ小説『風、薫る』では、第2週で主人公のひとり「一ノ瀬りん(演:見上愛)」が、運送業を営む18歳年上の男性「奥田亀吉(演:三浦貴大)」に嫁ぎ、祝言が行われたのと同じ7話で娘の「環(演:宮島るか)」を出産しました。ただ、りんは酒乱の亀吉から雑に扱われ、8話では暴力を振るわれて離婚を決意しています。視聴者のコメントを見ると、亀吉への非難はもちろん、姑の「貞(演:根岸季衣)」の酷い態度への反応が多数ありました。
貞は公式サイトのキャラクター紹介で、「亀吉と二人三脚で奥田屋を大きくしてきた自負がある。周囲からの成金扱いに嫌気がさしており、家柄を手に入れたいと一ノ瀬家に縁談を申し入れる」と説明されている人物です。
元藩家老の「一ノ瀬信右衛門(演:北村一輝)」の娘だから、という理由でりんを選んだ貞ですが、全く彼女を大切にせず、祝言があった初日から「士族の娘ってのは気位が高いんだわな」と嫌味を言っています。家柄や学に関するコンプレックスが強いのか、貞はその後もリンを傷つけるようなことを言い続けました。
そして、8話終盤では酔った亀吉が暴れたせいで火事が起き、「おっかぁ~」と呼ばれてやってきた貞は、りんや環に目もくれず息子を連れて逃げています。
あまりにもひどい奥田親子に対し、視聴者からは
「あまりにも酷すぎる暴力亭主と意地悪な姑。嫁と子を自分が起こした火事場に放置して逃げる亀吉と姑は人ではない」
「毎日あんな嫌味を夫からも姑からも聞かされたんじゃ心が死ぬよなぁ。環ちゃんが大きくなっても状況はきっと変わらないと思うし、ある意味あの火事で全ての答えが出たからよかったのかも」
「クセ強姑演じさせたら、もはや右に出るものはいないってくらい根岸季衣さんの安定感すごい」
「本格鬼姑役の、根岸季衣こえぇぇ」
「目を見張るクズ旦那とクズ姑、演技力素晴らし」
「亀吉はりんの家柄と学にコンプレックスがあり、彼女を蔑むことでウサを晴らしているよね。姑も同じ。家老の娘を貰うという世間体だけ繕っておいてこれだもんね…」
といった声が相次ぎました。憎まれ役を存分に演じた、根岸さんへの称賛も多いようです。
ちなみに、『風、薫る』の原案となった歴史学者の田中ひかるさんの書籍『明治のナイチンゲール 大関和物語』を読むと、りんのモデル・大関和(おおぜき・ちか)が、1876年に嫁いだ柴田豊之進福綱の母(名前不明)から、ドラマ以上にひどい扱いを受けていたことが書かれていました。
士族の柴田家は明治維新後に黒羽藩(現:栃木県大田原市)の地域で成功を収めた地主で、和は義母から家のことは下女に任せて、代わりに五反(約5000平方メートル)もの痩せた土地を開墾して米を作るよう命じられます。技量というよりも忍耐力を試すため試練だったようです。義母は日々の作業ノルマを決めており、和はそれをこなせなかった日は家に入れてもらえず、牛小屋で寝る日もあったといいます。
さらに、豊之進には千代という会津藩士の娘のほか、複数人の妾がいたものの、彼も義母も結婚後までそれを和に隠していました。千代は豊之進の子供を産んで育てていましたが、千代の実家の「家格」が足りないと思っていた義母は、彼女と子供を本家には迎えずに別宅に住まわせていたそうです。
そして、代わりに元黒羽藩の家老だった大関弾右衛門の娘である和が、柴田家の本妻として迎えられました。和は1877年に長男を産んだものの、豊之進はすでに妾たちとの間に5人の子供を作っていたため、和の息子は六郎と名付けられています。
また、和は柴田家に住んでいた綾という少女と仲良くなり、田作りにも協力してもらっていたそうです。しかし、あるとき義母は、その綾を遊郭に売ってしまいます。綾は義父と妾の間に生まれた子供で、義母は彼女を何不自由なく育てていたものの、本当は疎ましく思っていたようです。
和が可愛がっていた綾をなぜ遊郭に行かせたのかと問い詰めると、義母は「当主の子を大事に育てるのは当たり前です。(中略)甘やかされてきただけに、遊郭での生活はさぞ身にこたえているでしょう」と冷たく言い放ったといいます。
こういった出来事が積み重なり、和は柴田家を出る決意を固めました。そして、娘の心を妊娠していた1880年、和は六郎を連れて実家に戻り、その後、豊之進に手紙で離縁したいと伝えます。自分よりも妾を大事にしていた夫はもちろんのこと、義母の非人間的な言動が許せなかったようです。
さすがに朝ドラで妾を巡るドロドロの愛憎劇や、ヒロインと仲良くなった少女が義母に遊郭に売り飛ばされるなどの展開は描けなかったと思われます。史実よりも描写をマイルドにして、辛い結婚生活からの離婚までをたった2話で片付けるという判断に、視聴者からは「辛い場面あんま見たくないからこのスピード離婚はありがたい」「胸くそ描写を2話に凝縮したのは英断だと思う」といった声も出ていました。
※参考:『明治のナイチンゲール 大関和物語』(中央公論新社)、『大関 和 看護に人生を捧げた日本のナイチンゲール』(KADOKAWA)
(マグミクス編集部 映画・ドラマ担当)
