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40年前「ガンプラブーム」の現場は命がけだった? 身をもって体験した「騒動と熱狂」

今から40年前、アニメ『機動戦士ガンダム』の放送後に誕生したガンダムのプラモデル、通称「ガンプラ」は大ブームとなりましたが、その現場ではさまざまな出来事がありました。当時を体験した筆者が壮絶だった売り場の様子を語ります。

ファンが満足した1/144スケールの仕上がり

「ガンプラ」は2001年に写真は同年に発売された「HGUC版RX-78-2ガンダム」 (C)創通エージェンシー・サンライズ(画像:バンダイ)
「ガンプラ」は2001年に写真は同年に発売された「HGUC版RX-78-2ガンダム」 (C)創通エージェンシー・サンライズ(画像:バンダイ)

 この2020年に40周年を迎えた『機動戦士ガンダム』(以下ガンダム)のプラモデル、通称「ガンプラ」。筆者はそのガンプラ創成期を、身をもって体験していました。当時の思い出語りを含めて、ひもといていきたいと思います。

 当時のキャラクターもののプラモデル(以下プラモ)といえば、『宇宙戦艦ヤマト』(以下ヤマト)が圧倒的な人気でした。それまで、アニメプラモといえば、デザインに関係なく底部に稼働用のタイヤが付いていたものがほとんどだった時代、ほぼデザイン通りのプラモだったからです。しかも、スケールまで設定されていたことが、よりリアル感を増す要因でした。特に、100円でラインナップされたシリーズ「メカコレクション」は、低価格ゆえ好評だったのです。

 そんな時、その『ヤマト』を販売していたバンダイが『ガンダム』のプラモを発売するという発表がありました。この発表にファンは大喜びします。なぜなら、それまでガンダムの立体物といえばクローバーの玩具くらいで、中高生以上のガンダムファンにとって、手に取りづらいものだったからです。

 そして放送終了から半年ほど経過した1980年7月に、ガンプラ第一号の「ベストメカコレクション1/144ガンダム」が発売されます。他社製品をはるかに越える可動域、さらにプロポーションも玩具と比べればアニメそのままといっても過言ではなく、多くのファンを満足させる出来でした。

 しかし、そのすぐ後に発売された1/100は、従来の玩具テイスト的なデザインの商品でした。腹部にむき出しのコア・ファイター、1/144では稼働していた股関節が固定、そして右肩には謎のキャノン砲。あまりの出来ばえに私は買いませんでしたが、逆に一部のモデラーの人には「素材」として受け取られたようで、「よい改造キットだ」(笑)と言われていました。

 商品はこの後、『ヤマト』が人気だったことから8月に艦船の量産型ムサイ、9月にはファン待望の1/144シャア専用ザクがついに発売されます。その理由は、『ヤマト』でさえなし得なかったスケールの統一がついに果たされたからです。

 そんなわけで販売は順調に行われましたが、この時はそれほど大きなヒットではありませんでした。筆者の体験では、同年11月の1/144グフは数日残っていましたが、12月の1/144ズゴックはその日のうちに売り切れていました。おそらく年末、年始くらいがブームの始まりだったと思います。

【画像】ガンダリウム合金を再現だと…? ガンプラ40周年の究極モデル(10枚)

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