『鬼滅の刃 無限列車編』第1話 仕事ぶりから煉獄杏寿郎の新たな一面を発見
2021年10月10日、アニメ『鬼滅の刃 無限列車編』がついにスタートしました。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の前日譚と追加エピソードを含む全7話が放送予定の今作。気になる第1話をレビューします。
おかえりなさい、煉獄さん!

2021年10月10日、TVアニメ『鬼滅の刃 無限列車編』がついにスタートしました。アニメ1期にて、鬼殺隊本部から無限列車へと任務に向かった炎柱・煉獄杏寿郎。TV版「無限列車編」第1話は劇場版エピソードの前日譚として描かれました。煉獄杏寿郎をより深く知り、もっと好きになること間違いなしな初回のストーリーは、彼の“あのひと言”から始まりました。
●「うまい!」からはじまった圧巻の作画
無限列車への道すがら、立ち寄ったそば屋。列車で起きる怪事件の影響で閑散とした店内に、快活な煉獄の言葉が響き渡ります。「うまい!」このひと言を聞いて、おかえりなさいと思った方は多いのではないでしょうか。
同時に、そば屋は物語冒頭から作画の「本気度」が伝わるワンシーンでした。店主の流れるような手つき、茹で上がるそば、かき揚げ。『衛宮さんちの今日のごはん』でも料理監修をした、十駒マコトさんがそばのレシピ・監修を担当したのだそうです。
シーンが進み、弁当屋でのあんぱんも、ふっくらした食感が伝わるようです。作画と料理監修のタッグによる飯テロ、超強力でした……。深夜にもかかわらず「お腹すいた」と思った人は少なくないでしょう。
しょっぱなから料理で度肝を抜かれましたが、相変わらずの作画は圧巻のひと言でした。汽車内のこまかな装飾、もくもくと上がる煙、暗がりに光る車庫の外観。リアルタイムで視聴したあと、録画やネット配信で1シーンずつ一時停止させながら、それぞれの細かい描写を再確認したくなるほど精緻な作画で、私たちを楽しませてくれました。
そして、やはり醍醐味は戦闘シーン! 尋常ではない速度を誇る鬼は、その通り道に青い閃光を残像として人々へ襲いかかります。対して煉獄は、全集中の呼吸で人の限界を超え、鬼をも上回る速度で人々を助けるのです。青と赤の明滅が魅せる戦闘は、静かながらアニメ版『鬼滅の刃』の魅力を噛みしめるのに十分すぎる時間だったと思います。
●理知的+天然な、炎柱・煉獄杏寿郎の仕事モード
第1話は、煉獄の「戦闘シーン以外の仕事風景」が印象的でした。豪快で物事に対して、直線的に向き合う印象が強い煉獄。鬼の行方を追う彼は、鬼と無縁の人々にどストレートでその所在を問います。このまま、コメディタッチで彼の性格らしいシーンが続く……のかと思いきや、彼は意外にも理知的な仕事ぶりを発揮するわけです。
駅で買った大量の弁当を両手に下げ、汽車へと乗り込む。汽車から車庫へ向かったら、大量の弁当を整備士たちの差し入れと称し警戒を解く。こういう機転を利かせる人だったのか……と、彼の魅力を再発見できた展開でもありました。どうしてもその天然ぶりが隠せていない、煉獄のかわいらしさが見られたのも眼福でしたね(笑)。
アニメだからこその、圧巻の戦闘シーンと作画の妙を見せつけつつ、作品全体に通じる「人と人との縁」もしっかり描かれている。原作にはないストーリーは、蛇足ではなく煉獄のパーソナリティを一歩掘り下げる、素敵な物語だったと思います。
さあ、来週以降の第2話~第7話は、多数の新作映像が追加された「新生・無限列車編」が始まります。結末を知っている分、見たい気持ちもあるけれど、見るのもつらい……! 悶々とした気持ちを募らせながら、来週を待ちたいと思います。
※煉獄の「煉」は「火+東」が正しい表記
(サトートモロー)
