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子供たちも困惑? 『トムとジェリー』に「ケンカ版」と「仲良し版」がある理由

『ケンカ版』と『仲良し版』は時代背景の影響?

約80年の歴史があるため日本でソフト化されていないシリーズもある。画像は『トムとジェリー』 画像は『トムとジェリー 全10巻 (収納ケース付) セット』(ARC Co., Ltd.)
約80年の歴史があるため日本でソフト化されていないシリーズもある。画像は『トムとジェリー』 画像は『トムとジェリー 全10巻 (収納ケース付) セット』(ARC Co., Ltd.)

 前述の通り『トムとジェリー』は平日に放送されていたのですが、ある時日曜の昼にも放送されることとなりました。個人的には大好きなアニメが1週間のうち6日も観られることに歓喜し、わくわくしながらテレビの前に陣取ったことを憶えています。

 ところが視聴していくと、その内容は期待とは違うものでした。トムとジェリーがピクニックをしたり、共同作業で難局を乗り越えたり、遊びに興じたりと、ほのぼのとしたストーリーだったのです。ケンカらしいケンカはなかったと思います。

 子供心に困惑を抱えましたが、翌月曜日の夕方には再びケンカし始めるトムとジェリーに安心しました。しかし、再び日曜版を見るとやっぱり2匹は仲良しで当惑……。この繰り返しが続いたのです。当時は曜日によって変わる2匹の関係性の情緒が理解できず、不安でしょうがありませんでした。

 やがて自分が成長していきアニメ自体を観なくなりますが、この2種類の『トムとジェリー』は心のどこかに引っかかっていたため、大人になった今その理由を調べて納得がいきました。

『トムとジェリー』は歴史のある人気アニメなだけに、途中で監督や製作、もちろん時代背景も変わっています。日本では昔ながらの「ケンカ版」が当初放送されていたのですが、時代が進みアメリカで暴力描写の規制が入り、1970年代中盤に「仲良し版」が製作されると、日本でもそれが放送されるようになったのです。

 理由はシンプルで、「暴力描写の規制」でした。とはいえ、このふたつの世界線の『トムとジェリー』を同時期に観た子供たちのうち、そうした事情を理解できた子供はいたのでしょうか……? それにしても、大人になったあとも気になってしまう『トムとジェリー』は、まさに不朽の名作アニメということができるでしょう。

(南城与右衛門)

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