本心の吐露に呪いの言葉…「ガンダム」シリーズに見るラスボスとの決着「最後の会話」
物語のクライマックスで主人公と宿敵が最後に交わす会話、これまで隠してきた本音や、戦いの中で見せる人間らしさが垣間見える瞬間でもあります。「ガンダム」シリーズにおける宿命の対決を締めくくる言葉を見ていきましょう。
因縁の決着、最後の会話は「女性の話」

物語のクライマックスにおける、主人公とその最大のライバルであるラスボスとのバトルの決着、「ガンダム」シリーズでは最後にどのような言葉が交わされていたでしょうか? 「ガンダム」主人公ふたりとそのライバルたちの、「最後の会話」に焦点をあててみましょう。
アニメ『機動戦士ガンダム』では、最終決戦「ア・バオア・クー」の戦いで、「アムロ・レイ」の乗機「ガンダム」と「シャア・アズナブル」の駆る「ジオング」が激突、このときアムロはニュータイプの少女「ララァ・スン」を戦争に巻き込んだシャアを責めました。そしてふたりの本当の最後の戦い、映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のクライマックスでもララァの名前が出てきます。
宇宙要塞「アクシズ」の攻防戦でふたりは一騎打ちとなり、やがて「νガンダム」のアムロは、「サザビー」の脱出ポッドで逃げようとしたシャアを捕らえ、地球へ落下を始めたアクシズに押しつけ、これを阻止すべく押し返そうとします。
絶体絶命のなか、一年戦争でララァを殺してしまったアムロに対しシャアは「私の母になってくれるかもしれなかった女性だ」と怒りと悲しみを訴えました。一方、アムロは「お母さん? ララァが?」と驚きのなか会話は終了、これがふたりの最後に交わした言葉となりました。
登場から「キャスバル・レム・ダイクン」という本名や身分、思惑などすべてを隠し続けてきたシャアという男が、アムロという認めたライバルに最後の最後で本心を口走るこのシーンは、人間味にあふれる、本当のキャスバルの言葉を聞けた場面でもありました。

●カミーユが命を賭しても倒したかったシロッコとの最後の会話は?
TVアニメ『機動戦士Zガンダム』の主人公「カミーユ・ビダン」にとってのラスボスは、「ティターンズ」の「パプテマス・シロッコ」です。
シロッコは「木星帰りの男」として、たらふくの自信と実力を肥やします。そして、ニュータイプの資質を持つ「サラ・ザビアロフ」や元「エゥーゴ」の「レコア・ロンド」といった女性パイロットらを籠絡し、敵対する「クワトロ・バジーナ」のみならずティターンズの創設者「ジャミトフ・ハイマン」をも軽んじ、独善的な振る舞いで戦局を翻弄し続けました。
物語のクライマックス、カミーユの「Zガンダム」とシロッコの「ジ・O」の最終決戦では、自信満々でモビルスーツを駆るシロッコに対し、憤懣(ふんまん)を隠さないカミーユが、「戦争を遊びにしている」とののしりました。
すると不思議な力でジ・Oは動かなくなり、初めてシロッコは動揺を見せます。そこにカミーユは「ここからいなくなれ!」とZの「ウェイブライダー」形態でジ・Oのコックピットへ突撃、装甲を貫き、直接シロッコの肉体を押しつぶしました。
今わの際、シロッコは「私だけが死ぬわけには……貴様の心も一緒に連れていく……カミーユ・ビダン」と言うと、カミーユは広がる光を感じ、ジ・Oは爆散、そしてカミーユは心を連れ去られてしまいます。
まさに負け知らずだった男が、「心の強奪」という負けないための最終手段……。ティターンズという組織の在りかたのように傲慢な最期でした。
(南城与右衛門)

