『鬼滅の刃』炭治郎が「いい上司」になりそうな4つの理由 理想の上司像と比較
炭治郎が上司だったら、どんな会社生活を送れるでしょう? 作品から読み取れる性格やエピソードと「理想の上司像」についてのアンケート結果をもとに、もしも炭治郎が上司だったら、どんな上司なのかを想像してみます。
理想の上司像と比べた炭治郎は…!?
放送中のTVアニメ『鬼滅の刃 遊郭編』も、いよいよ激しい戦いに突入です。鬼殺隊において「柱」と言えば、炭治郎や伊之助、善逸らにとっては「上司」です。彼らは、鍛えあげられた剣技と身体、精神を持ち、鬼殺隊の戦力の中枢を担っています。炭治郎はこれまで水柱・冨岡義勇に命を救われ、蟲柱・胡蝶しのぶの治療を受け、炎柱・煉獄杏寿郎の生き様に震え、音柱・宇髄天元の指示で遊郭に潜入し……超個性的な柱たちと関わってきました。
炭治郎の場合、どんな相手にも臆せず、親しみを持ってグイっと近寄れる、心の距離感のなさは、ある意味うらやましく、そして面倒な性格のひとつと言えるでしょう。では、もし炭治郎が上司だったら……?
427人の新入社員を対象に集計された「理想の上司像」についてのアンケート結果では、3位「行動力がある」、2位「相談にのってくれる」、1位は「人間的に尊敬できる」でした。(東京都千代田区・ジェイック調べ)
この記事では、作品から読み取れる性格などをもとに、炭治郎が上司になったらどうなのかを考えてみます。
※この記事では、まだアニメ化されていないシーンの記載があります。原作マンガを未読の方はご注意ください。
●融通はきかないけれど、良い上司の器!?
太陽の光を避けて禰豆子を担いで移動するため、穴の開いたカゴとワラと竹をゆずってもらおうとした炭治郎は、相手が無料で良いと言ってくれたにも関わらず、お金を払います。安易に相手に借りを作らないというのは、ビジネスの場では大切なことですが、それも行きすぎると、融通がきかない面倒な人と思われかねません。「ほどほど」がとても苦手そうな、生真面目で石頭な炭治郎は、自分の同僚や部下のみならず、取引先までイラっとさせてしまうかもしれません。
それでも、初志貫徹。自分の意見を貫いて攻める姿勢は、理想の上司像の第3位「行動力がある」につながるため、やはり炭治郎は「良い上司」の器と言えそうです。
●優しさ+ド天然+KY=いい上司!?
人一倍、すぐれた聴覚を持ち、体から発せられる音で相手が何を考えているかまで分かる善逸が炭治郎から聞こえる音をこう表現しています。「今まで聞いたこともないくらい優しい音」と。つまり、とびきりに「優しい」ことは折り紙付きというわけです。
ただ、炭治郎の場合、ド天然でKYなところもあるのを忘れてはいけません。鼓屋敷での戦いの後、鬼に殺された人々を埋葬するための穴掘りを拒否されたときには、「傷が痛むからできないんだな?」と気の毒そうな表情をし、伊之助の気持ちを逆なでしていました。救出した子供たちにすら、「ズレてる…ズレてる…」と突っ込まれるほど……。
しかし、栗花落カナヲが指示されたこと以外の行動をコイントスで決めていることを知ると、炭治郎はそのコインを空高く投げ、「表が出たらカナヲは心のままに生きる」と叫びました。炭治郎が手の甲にキャッチしたコインは表。カナヲの心に芽生えた変化は、彼女を成長させていきます。そもそもカナヲは笑顔を見せながら炭治郎を拒絶していました。
にもかかわらず、そんなカナヲにグイグイ寄って心の扉を開いてみせたのは、意図したことではなかったにせよ、優しさとKY、ド天然の巻き起こす、炭治郎ならではの奇跡と言えるでしょう。これは理想の上司像第2位「相談にのってくれる」のさらなるアレンジバージョンと言えそうです。
優しさにド天然とKYという本来ならマイナス要素が加わって、あのカナヲを変えてしまうなんて、炭治郎が上司だったらどれだけの部下が救われることでしょう。
●努力と根性が育てた、「尊敬できる」上司!?
炭治郎は蝶屋敷での機能回復訓練でも、各柱のもとで行われる柱稽古でも、努力を惜しみませんでした。アドバイスに素直に従い、コツコツ努力を重ねて全集中の常中もできるようになりましたし、巨大な岩を動かすこともできるようになったのです。
世の中には、部下には努力を強いて自分は楽をしようとする上司がゴマンといますが、炭治郎はそれとは異なります。鬼を倒し、妹の禰豆子を人間に戻すという目標を持ち、相手が自分の上司である「柱」であっても媚びへつらったりせず、自分の意見をぶつけるのです。仲間を裏切るようなことはけっしてありませんし、負傷の後が痛くても、「炭治郎頑張れ!! よくやってきた!! 俺はできる奴だ!! そして今日も!! これからも!! 折れていても!! 俺が挫けることは絶対に無い!!」と、無理矢理にでも自分を鼓舞し、仲間のぶんまで戦おうとします。この素晴らしい人間力は、まさに理想の上司像第1位「人間的に尊敬できる」にピッタリです!
炭治郎は鼓屋敷では響凱(きょうがい)が人を殺したことについては糾弾しますが、血鬼術を評価し、戦闘中でも彼の小説を踏みつけにはしませんでした。人に「正当な評価」を下せるところからも、炭治郎が素敵な上司になるであろうと推測できますね。
●もうひとつの活躍の場!?
炭治郎の炊くご飯の美味しさ、魚の焼き加減のうまさは、柱稽古で一緒に修行した隊士たちも認めるところでした。炭治郎自身も「俺 炭焼き小屋の息子なんで!」と、ドヤ顔を見せています。となると、炭治郎はいくら上司になっても、社内レクでのBBQ奉行の座は部下に譲らなそうです。「この肉、焼けたぞ!」「次は焼きそばいくぞ!」と、いそいそとトングを片手に指揮を執る炭治郎が想像できます。
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最初は好戦的だった伊之助や玄弥、無関心だったカナヲも、炭治郎に対しては、いつの間にか心を開くようになっています。炭治郎ならきっと愛され上司になるであろうと確信できるゆえんです。
※禰豆子の「禰」は「ネ」+「爾」が正しい表記
※煉獄の「煉」は「火+東」が正しい表記
(山田晃子)