『ジョジョ』敵キャラたちの深い名言4選 悪が語る「人間社会」「信頼」とは?
名作マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』で名ゼリフを言うのは、何も正義の味方だけではありません。悪役もまた然りです。ラスボスですらないただの敵が、ハッとするような言葉を残すのが同作の魅力。今回は『ジョジョ』の悪役が放った、意外に深い名言をご紹介します。
「悪」だからこそ言える残酷な社会の真理
人気マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』(著:荒木飛呂彦)は、数々の名言が登場することで知られています。独特の言語センスから繰り出されるセリフの数々は、たとえ敵の言葉であっても読者の心を魅了し、時に人生の訓戒として長く残るものです。この記事では、そんな『ジョジョ』に登場したラスボス以外の悪役の深い名言をつぶさに紹介していきたいと思います。
●「女を尊敬しているからだ」 第3部……ホル・ホース
第3部の敵キャラ、ホル・ホースは、銃のスタンド「エンペラー(皇帝)」を操り、テンガロンハットを愛用するなど、まさしくガンマンといったいでたちで、誰かとコンビを組む戦法を得意としています。ご紹介したい名言は、未来を予知するスタンド「トト神」を使うボインゴとコンビを組んだ時、ホル・ホースが女性に蹴りを入れると予言されて発したセリフです。
「おれは世界一女にはやさしい男なんだ。世界中にガールフレンドがいる。女にうそはつくが、女だけは殴ったことはねえ!ブスだろうが、美人だろうが、女を尊敬しているからだ!」
これは決して、優しいジェントルマンの言葉ではなく、狡猾で恐ろしい暗殺者の言葉なのです。実際、彼は女性に対し平気で「愛している」などと嘘をついていました。しかし、すべての女性への「敬意」があるのもまた事実のようです。気ままな風来坊でありながらも冷徹な判断をくだせる、そんな陰陽両極を併せ持つキャラクターだからこそ言い得た、矛盾を内包する深い名言でした。
●「『ババ』は自分以外の誰かに持たせりゃあいいんだよ!」第4部……鋼田一豊大
第4部に登場した、鉄塔のなかで自給自足の生活を送る実に風変わりな男・鋼田一豊大(かねだいちとよひろ・偽名)は、意外な名ゼリフを残しました。彼は鉄塔と一体化しているスタンド「スーパーフライ」の持ち主です。このスタンドの能力は人ひとりを鉄塔内部に閉じ込めておくというもので、別の誰かがなかに入らないと外には出られない仕組みです。鋼田一自身もスタンドに閉じ込められていたのです。そんな彼が、主人公・仗助たちをハメて放った名言が……
「でも…、そう深刻になるなよ。替わりの誰かを引っぱり込めばいいんだよ。(中略)誰か他人にカスつかませて…自分だけ出れば助かるじゃあないか。トランプゲームの「ババヌキ」みたいなものさ。「人間の社会」と同じさ!「ババ」は自分以外の誰かに持たせりゃあいいんだよ!」
さらに鋼田一は 「ちがうかい?」と問うのですが、正直否定できません。自由競争社会において、この言葉は残酷な真理として私たちの胸に刺さります。さらにこのセリフが社会から自らを隔絶させた男が放ったものだと考えると、興味深いです。