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『ストII』世代が体験した、驚きのアーケード事情 対戦は横並び、穴場はボーリング場…

ゲームセンターに向かわない『ストII』プレイヤーの行き先とは?

画像はWii U バーチャルコンソール版『ストリートファイターII ザ ワールド ウォーリアー』(カプコン)
画像はWii U バーチャルコンソール版『ストリートファイターII ザ ワールド ウォーリアー』(カプコン)

●筐体に積み上がる50円玉

 一般的なアーケードゲームは、敵にやられてゲームオーバーになるか、クリアしてエンディングを見ると、1回のゲームプレイが終了します。『ストII』の場合、そこに「対戦で負ける」も加わりますが、基本的には同じルールです。

 ですが、ゲームが終われば席を空ける……かどうかは、一概に言えません。というのも、あらかじめ次回以降のプレイに使う50円玉や100円玉を何枚も筐体に積み上げ、「このプレイが終わった後も続けて遊びます」と意思表示をする慣習が当時ありました。

「連コイン」とも呼ばれるこの行為自体は、明確なルールとして提示している店舗が現在もあります。また、連コインを禁止する店も存在し、店舗ごとにそのルールは異なります。

 しかし当時は、店がルールを定めること事態が珍しく、プレイヤー間で生まれたルールが暗黙の了解的に広がっていました。そのため、50円玉を積み上げて台を占領する人もいれば、1プレイで交代を迫るプレイヤーもおり、ルールの違いでぶつかることも少なくありません。

 連コインを続ける相手に勝負を挑み、負かして追い出すこともできますが、相手が格上だとただ硬貨が吸われるだけ。また、対戦が出来ないひとりプレイ専用筐体もあり、その場合は指をくわえて待つか、諦めて別の店に行くかの2択のみ。初心者~中級者プレイヤーは、存分に遊べる環境探しにも苦労したものです。

 ちなみに連コインだけでなく、プレイの順番待ちを主張するため自分の50円玉を台に置く文化もありました。知らない相手がプレイしている最中に、その筐体に硬貨を置く。順番待ちが複数いればその人数分だけ硬貨が並ぶ光景は、今思えばかなり特殊だったかもしれません。

●『ストII』を遊ぶならボーリング場へ行け!

 当時の『ストII』人気は凄まじく、順番待ちも当たり前。そのため、腕を磨くために練習したい場合、対戦が飛び交うゲームセンターは不向きです。また、仲間内だけで遊びたい時もあまり向いていません。

 人気絶頂の『ストII』を、友達だけで気軽に楽しみたい──そんな時に向かう先は、なんとボーリング場でした。当時のボーリング場は、レーンが空くまでの時間も楽しめるようにアーケードゲームを設置するところが多く、店によっては『ストII』もあったのです。

 しかもボーリング場は、風営法に縛られるゲームセンターと違い、24時間営業も可能。成人であれば、ボーリング場という裏技で、深夜でも『ストII』を楽しめました。

 こうした黎明期ならではの苦労は、店舗側が環境を整えたり、家庭用版が出て存分に遊べるようになるなど、時代の変革とともに移り変わり、現在の形に至りました。今の便利さを噛みしめつつも、当時の悪戦苦闘の日々をどこか懐かしく思い出します。

(臥待)

【画像】初期の『ストII』対戦は一触即発! 相手と肩がぶつかりそうなゲーム筐体(5枚)

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