『エヴァ』完全新作シリーズはどんな内容になる? 考えられる3つのシナリオとは
まさかの「エヴァンゲリオン」完全新作シリーズの発表。そして、庵野監督不在の制作陣。予想外の発表から始まった新シリーズが、今後どのような展開を迎えるのか。その可能性を模索します。
シリーズの転換点になる可能性も

『新世紀エヴァンゲリオン』から始まった「エヴァンゲリオン」シリーズは、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』で大きな節目を迎えました。しかし30周年フェス「EVANGELION:30+; 30th ANNIVERSARY OF EVANGELION」の最終日に完全新作シリーズの制作が発表され、いま新たな展開が動き出しています。
現時点では詳細などは明かされていませんが、これまでの流れや制作体制から考えると、いくつかの方向性が見えてきます。
●空白の14年に触れるのか?
まず考えられるのは、これまで明確に描かれなかった「空白」を埋める物語が描かれる可能性です。
例えば『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』から『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』まで、作中では14年もの歳月が流れていました。しかし観客は碇シンジと同じ立場に置かれたため、実感としてはほぼ何も分からない状態で、変わり果てた世界を目の当たりにすることになります。
「空白の14年」の情報は断片的で限られています。だからこそ、何が起きたのか詳しく知りたいファンも多いことでしょう。こうした、まだ明確に描かれていないパートを、新シリーズが描き出す可能性は否定できません。
●過酷な物語や結末を描く可能性
シリーズ構成・脚本を担当するのがヨコオタロウ氏である点も、今後の展開を予測するにあたって重要なポイントです。同氏は『ドラッグオンドラグーン』や『ニーア オートマタ』などの代表作を持ち、重く過酷な物語を描くクリエイターとして評価されています。
ヨコオ氏はシナリオを手がけることも多く、単純な勧善懲悪に終わらないという特徴があります。例えば、悲しい結末を乗り越えるために何度もゲームをクリアするものの、そのたびにいっそう悲劇的なエンディングを突きつけられたり、救いを求めるプレイヤーのセーブデータを代償(=消去)とするなど、プレイヤーの想像を超えるなシナリオを描いてきました。
ヨコオ氏がこうしたシナリオを生み出す背景には、「自らの目的のために敵を倒し続ければ、その行為はいずれ本人に返ってくる」といった考えがあるためです。そのため安易なハッピーエンドにはせず、因果応報的な結末を描くことが多いと、さまざまなインタビューで触れています。
もし新たな「エヴァ」でも戦いが中心に据えられるのであれば、その勝利の裏にある犠牲や因果がより強調される可能性があり、非常に苦いものになるのかもしれません。
●今回の新シリーズが、新展開への第一歩となるのか
もうひとつ見逃せないのが、今回の新シリーズに庵野秀明氏の名前が前面に出ていない点です。これまでの「エヴァ」は、庵野監督の個性と強く結びついた作品群でした。しかし、新体制での展開になることで、シリーズ全体が大きな転換期を迎える可能性があります。
この可能性を考えるうえで参考になるのが、『機動戦士ガンダム』を起点とする「ガンダム」シリーズです。初期は富野由悠季氏が中心でしたが、その後は多様なクリエイターが参加し、作風の異なる作品が次々と生み出されました。その結果、『ガンダム』は長期にわたり幅広い世代に支持されるIPへと成長しています。
今回の「エヴァ」の新シリーズも、同様に「エヴァンゲリオン」という共通要素を軸としつつも、異なる視点やテーマでシリーズ自体を広げていく試みなのかもしれません。共通するキーワードやモチーフを残しながら、まったく新しい舞台設定やキャラクター像を打ち出す可能性もあります。
いずれにせよ、新シリーズは『エヴァ』というIPを次世代へ引き継ぐ、歴史的な転換点となることはほぼ間違いないでしょう。ヨコオタロウ氏という強烈な個性がこの世界観とどう化学反応を起こすのか、多くのファンが続報を心待ちにしています。
(臥待)






