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「週刊少年ジャンプ」が少年マンガ誌のトップになれたワケ 後発だからアイデアで勝負?

ターゲットの「少年」とともに成長

●人気を保つ「カセット方式」

 有名漫画家に描いてもらえないため新人発掘に力を入れた「ジャンプ」ですが、とはいえ新人漫画家ばかりで果たして続けていけるのか……という不安も編集部にはあったようです。なにしろフレッシュさ以外はすべて未知数の新人たちなのですから。

 そこで「ジャンプ」が考え出した一手が「カセット方式」なるもの。4代目編集長・後藤さんによれば「カセット方式」とは、新人漫画家たちにストーリーマンガなら31ページ、ギャグマンガなら15ページの読み切り作品を描きためてもらい、ストックしておくことなのだそうです。

 作品のページ数を揃えてあるので、人気が出なかったり締切に間に合わなかったりする作品があれば、その穴埋めをすぐに用意できるというシステム。カセットのように簡単に入れ替えられるので「カセット方式」というわけです。面白くなければすぐに切られるという、漫画家にとってはシビアな状況ですが、それだけに面白い作品を描いて生き残ろうという原動力にもなったのではないでしょうか。

 後藤さんによると、本宮ひろ志先生の大ヒット作『男一匹ガキ大将』も、実はその穴埋めから生まれた作品なのだそうです。

●少年の心をがっちりキャッチ

「ジャンプ」の読者ターゲットは創刊当初は小学校高学年、現在は少し年齢が上がって15歳前後だそうですが、一貫して変わらないのは「少年」だということです。もちろん大人の読者も多いのですが、大人だってかつてはみんな少年でした。実際に大人になってみると、身体はいくら成長しようとも(または老いようとも)、実のところ中身はそんなに変わっていないことに愕然としませんか?

 そんな全少年の心をつかむために「ジャンプ」が重要視しているのが、読者アンケートです。今では当たり前の読者アンケートを最初に始めたのも、ジャンプなのだとか。

 漫画家にとっては読者の素直な反応がわかり、読者には自分たちの感想が作品に反映される喜びがあります。「ジャンプ」は少年たちと一緒に成長してきたからこそ、モンスターマンガ誌になりえたのではないでしょうか。

 もちろん「ジャンプ」は読者の声を聞くだけではありません。現編集長の中野博之さんは「これは少年に読ませたい、と思えば少年マンガだ」と語っており、あえて大人っぽい内容や描写の作品を載せることもあるといいます。少年を子ども扱いしない「少年目線」だからこそ、できることなのでしょう。

●「アニメ化」を厳しくチェック

 今やマンガのメディアミックスは当たり前。たとえば『鬼滅の刃』は、もともとの作品の人気に加え、アニメ化でファンの裾野が爆発的に広がり、国民的作品になりました。

 アニメ化は知名度が桁違いに上がるため、マンガ界としては一も二もなく大歓迎……かと思いきや、実は「ジャンプ」ではそうとも限らないようです。アニメ化には認知度が上がるメリットはあるものの、ヘタな映像化ではマンガ自体のイメージを落としてしまうということで、アニメ制作陣が辟易(へきえき)するほど、内容について厳しくチェックするのだそうです。

 アニメ『鬼滅の刃』も、ジャンプ編集部の細やかなチェックがあったからこそ、原作ファンの期待以上の作品となり、マンガの魅力をより引き上げることができたのでしょう。

 ジャンプがモンスターマンガ誌となった理由をさぐってみると、どれも、マンガが大好きな読者のために面白いマンガを届けたいという、編集部の真摯(しんし)な思いが伝わってきます。他にも理由はまだまだあるでしょうが、少しでも面白いものを届けたいという思いに違いはないでしょう。これから「ジャンプ」誌上でどんな面白いマンガとで出会えるのか、楽しみで仕方ありませんね。

(古屋啓子)

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