『ガンダム』ジムとボールは本当に弱かった? 劇中で語られない戦略上の強さ
ジムとボールが「弱くなかった」と言えるワケ

こうしてソロモン攻略戦に投入されたジムとボールの組み合わせは、総合的に見れば「弱くなかった」と言うことができます。個別の対モビルスーツ戦闘においては、パイロットの練度の低さなどもあり、ジオン公国軍のザクIIやリック・ドムに数多く撃破されたに違いありません。特に、ボール単体で言えば対モビルスーツ戦に向いた機体ではないため、なす術なく撃墜された機体も多かったことでしょう。しかし、戦闘の結論から言えば、ジムとボールの連携は大きな戦渦を挙げていたのは間違いありません。
ジオン公国軍のモビルスーツによる個別撃破を念頭に置いた戦い方に対し、ジムの部隊はシールドで防御しながら集団で前進する戦法を採っています。これでは、個別の性能は低くても迂闊に近づけば袋だたきに遭う可能性があるため、ジオン側は攻めあぐねる状況にあったと思われます。
さらに、後方からは通常のモビルスーツの携行武器よりも大型の火砲で臨機応戦に援護射撃を行うボールがいれば、なおさら近づきづらいはずです。もちろん、技量の高いモビルスーツパイロットならばある程度対応できたかもしれませんが、一般的なモビルスーツパイロットならば、数の有利を理解したシステマチックな戦法に圧倒され、追い詰められてしまったのはほぼ間違いないと思われます。
ソロモンが陥落したという結果からも、ジムとボールを組み合わせた戦法が功を奏したことがわかります。ソロモン侵攻における状況の不利を打破するために果敢に戦ったものの、ジオン公国軍は多くのベテランパイロットが失われ、続くア・バオア・クー戦においては、高性能な次期主力モビルスーツであるMS-14ゲルググが配備されるも、パイロット不足に悩まされ、訓練不足の少年兵までも投入されたと言われています。
一方、ジムはジム・スナイパーカスタムやジム・キャノンといったバリエーション機やジム改などの改良機も配備されていたことを考えると、その後、戦力としてはどんどん強化していったことがうかがわれます。
機体の性能面において、ジムとボールの組み合わせは決して強くなかったかもしれません。しかし、モビルスーツを使った戦いを有利に展開させるのは機体の性能差だけではなく、戦術や戦略が重要であるということが、ジムとボールの組み合わせから改めて証明したと言えるでしょう。
(石井誠)




