実写映画『東京リベンジャーズ』はなぜ成功した? 要因を考察 続編を作る余地はある?
主人公・タケミチが中学時代にタイムリープし、人生のリベンジに挑戦する人気マンガ『東京卍リベンジャーズ』は、2021年に実写版映画『東京リベンジャーズ』が公開され大ヒットを記録しました。土曜プレミアム放送のタイミングで、その要因や背景、人気の理由について考察します。
「ヤンキーもの」で重要なキャスティングを見事クリア
主人公のフリーター・花垣武道(通称:タケミチ)が不良だった中学時代にタイムリープし、人生のリベンジに挑戦する『東京卍リベンジャーズ』(原作:和久井健)は、原作コミック、アニメ版とともに人気を博しています。さらに、2021年に公開された実写版映画『東京リベンジャーズ』は、興行収入44億6000万、観客動員数334万人を突破する大ヒットとなりました。これは『るろうに剣心 The Final』(43.5億)を上回る、21年の実写版作品No.1の成績です。
2022年7月30日の「土曜プレミアム」で地上波初放送となるタイミングで、その成功の要因を振り返ります。
まず、実写化において原作ファンが気になるのは、やはりキャスティングやストーリーの改変でしょう。あまりにかけ離れたキャラクターの見た目や、大幅なストーリーの変更は賛否を巻き起こすこともあります。
その点、『東京リベンジャーズ』はタイムリープというSF要素を大きく取り扱ってはいますが、ベースは2020年公開の『今日から俺は!!』(原作:西森博之)や、2007年公開の『クローズZERO』(原作:高橋ヒロシ)などの過去の実写化ヒット作のように、日本が舞台の「ヤンキーもの」というある種王道的なジャンルのため、作りやすい作品だったと言えるでしょう。
そして、前述の作品や『ルーキーズ』『ビーバップハイスクール』などの、過去の成功作を見てもわかる通り、ヤンキー映画で重要なのは若手俳優中心のキャスティングです。『東リベ』の実写版ではイムリープ先を中学時代から高校時代に改変し、キャスティングを無理のない範囲へと変更したことが、まず大きな成功要因だったと思います。
主人公・タケミチを演じた北村匠海さんや、佐野万次郎(通称:マイキー)役の吉沢亮さん、龍宮寺堅(通称:ドラケン)役の山田裕貴さんら、メインキャラの再現度は絶妙で、原作ファンからも支持を集めました。また、見た目の再現度もさることながら、各キャストのエネルギッシュな演技と、迫力あるアクションシーンも圧巻です。
特に、主演の北村さんは元々原作のファンだったそうで、「映画化するなら絶対自分がタケミチを演じたいと思っていました!」(公式ホームページより)とコメントしており、出来るだけ原作に寄せたヘアスタイルや、動ける身体作りなど、役作りの面からも作品へのリスペクトが感じられます。また、さわやかイケメンの鈴木伸之さんが、ゴリゴリなパンチパーマの悪役・キヨマサを憎たらしさ全開で演じており、意外なキャスティングながら体躯の威圧感含め、こちらも見事な原作再現度でした。
実写化において、いちばん物議を醸しがちなキャスティングと演技面でハードルをクリアした時点で、ヒットは確実だったと言えるでしょう。
さて、映画『東京リベンジャーズ』は、しっかりとしたハッピーエンドで1本の作品としてきれいに終わりましたが、ここまでの大ヒットとなれば、当然「続編」の企画も動いている可能性は高いです。『東京卍リベンジャーズ』は、2021年に実写版だけでなく、アニメや舞台など、さまざまなメディアミックス展開が同時期に集中していたことも、ヒットの背景にあると言えるでしょう。そして2023年1月より、アニメシリーズの続編「聖夜決戦編」の放送が決まっているので、実写版の続編にも期待が高まります。もし続編が作られるとなれば、どのような内容になるでしょうか。
※ここから先の記事は、原作のその後の展開について触れているので、実写版しかご覧になっていない方はご了承の上お読みください。