『水星の魔女』でガンダムデビューした若者に、古参が懸念 同時間帯の過去アニメであった鬱展開
学園ラブコメを思わせる作風がかえって不安を呼ぶ?

ちなみに大河内さんがこれまでシリーズ構成を手がけた作品のジャンルはさまざまで、必ずしもアンハッピーエンドを思わせるものだけではありません。しかし、日曜夕方17時のシリーズ枠で考えた場合、その最初の放送作品だった『コードギアス 反逆のルルーシュR2』(2008年)のことがファンの脳裏に浮かぶようです。
奇しくもこの『ギアス』も学校生活での明るい展開が印象的で、学校外の世界で起こっている事件の暗さと対照的な面がありました。『水星の魔女』も「PROLOGUE」での事件や、学校外では第4話に出てきた地球に住む人(アーシアン)と宇宙にいる人(スペーシアン)の対立が暗い影を落としています。
筆者も現在までの「学園ラブコメ」を思わせる楽しい路線を期待して、毎週の視聴を楽しみにしていますが、同時に「『ガンダム』なんだからいつ戦争路線に舵を切ってもおかしくない」……そう思っています。
この、いつ不穏な空気が流れてもおかしくないという不安を抱えているのはどうやら年配の方に多く、これまでのパターンから『水星の魔女』がこのまま明るい作品で終わるわけはない。……経験から来る不安を感じて見守っているようです。
この不安感は従来の「ガンダム」シリーズになかった、サブタイトルしか告知されない予告編という次回話数の映像がないことも要因にあるでしょう。逆を言えば、サブタイトルから次回の展開を予想する楽しみもあります。
そのせいか「ガンダム」シリーズに詳しくない若い世代は純粋に作品を楽しんでるようで、その方が視聴者としては正しいかもしれません。下手に裏読みをして作品本来の面白さを見逃すのは正解とは言い難いですから。
振り返ってみると、特別編である「PROLOGUE」を除くと、これまでのラストは思わず笑みがこぼれるような展開でしめています。この明るさを嵐の前の静けさのように感じる疑い深い人は、筆者のようにこれまで多くの作品を見て作品を信頼できない、心がけがれた人なのかもしれません。
さすがに4話まで視聴した感じでは、この雰囲気がガラッと変わるということはよほどのことがない限りないでしょう。『水星の魔女』は分割2クールで12月に一度終了すると思われますから、その時まではこの学園ラブコメの流れが続くことを願って見続けていこうと思います。
(加々美利治)




