伝説の実写版『サザエさん』がアマプラで配信中 マスオとの交際は「クリスマス」だった?
サザエさんが歌って踊る? 豪華キャストと見どころが満載

江利チエミ版の特徴ともいえるのが、何といってもミュージカル要素です。東屋トン子版もその要素はあったものの、江利チエミ版の方が圧倒的に多いです。その理由としては、江利チエミは、美空ひばり、雪村いづみとともに「三人娘」として人気を博したアイドル的存在であったことから、プロモーション的に持ち歌を披露するシーンも多かったからです。
なかでもディズニー映画『シンデレラ』の挿入歌のカバー「ビビディ・バビディ・ブー」は毎回のように歌われています。
サザエさんの夢や妄想として、オペラ「蝶々夫人」や『風と共に去りぬ』のパロディシーンもあるなど、レパートリーも豊富。設定上、マスオさんの転勤や出張が多く、それをサザエさんが追いかけて行くのが定番で、さまざまなロケーションでサザエさんが歌って踊る「観光映画」としても機能しているため、絵的にも飽きさせません。
また、磯野家だけではなく、強烈な個性を持ったサブキャラクターも多く登場します。第4作目『サザエさんの婚約旅行』(1958)で初登場する、大阪に住むサザエさんの親戚夫婦は花菱アチャコと浪花千栄子が演じていますが、このふたりの掛け合いはもはや夫婦漫才といったところで、いつまでも聞いていられるほどです。ちなみに出番はそれほどありませんが、ノリスケを演じているのは名優・仲代達矢です。
第8作『サザエさんとエプロンおばさん』では、同じく長谷川町子原作の『エプロンおばさん』とクロスオーバーエピソードとなっているなど、実験的なことも積極的に行っていました。
見どころ満載の江利チエミ実写版『サザエさん』ですが、他の配信作品と同様、突然配信が終わってしまう可能性もあります。観られるうちに観ておくべき作品であることは間違いないでしょう。
(バフィー吉川)