2022年に大躍進『スパイファミリー』 人気爆発の理由は「かつてないパターン」「寸止め」
さまざまなアニメがヒットした2022年で大躍進した『SPY×FAMILY(スパイファミリー)』。その人気は一般層にまで及び、各企業とのコラボ企画が次々と発表されていきます。その躍進の秘密は何でしょうか?
『SPY×FAMILY』がヒットした要因とは?

2022年12月末、TVアニメ第1シーズンが最終回を迎えた『SPY×FAMILY(スパイファミリー)』。その認知度と高い人気は、2022年を代表するTVアニメと言っても過言ではないでしょう。
2022年はさまざまなアニメが製作され、ファンに支持されてきました。そのなかでもっとも注目した作品を挙げるとすれば、筆者は迷いなく本作『SPY×FAMILY』を選びます。もちろん人によって意見はさまざまでしょう。それでも筆者がこの作品を挙げる理由があります。
それは知名度の急上昇。本作は配信サイト「少年ジャンプ+」で2019年3月25日から連載され、その年のうちにいくつかの賞に輝きました。その勢いから2021年のコミックス7巻発売時には発売累計発行部数が1千万部を超え、TVアニメ化に至っているのですから、普段からよくマンガを読む層は知っていて当然レベルの人気作品です。
ところが一般的な知名度はそれほど高いものではありません。アニメ放映前と現在のマスコミの取り上げ方を見れば一目瞭然です。ファンになった人のほとんどが、アニメ化をきっかけにその魅力に引き込まれたというところでしょうか。それほど急速に一般層へ受け入れられた作品です。
もっとも作品関係者はこの結果を予想していたのでしょう。そうでなければ分割2クールという厚遇で作品制作には入らないと思います。時間帯も夕方ではありませんが、深夜枠ではない23時台という新規の枠という点も見逃せません。
こういった作品関係者の事前の仕掛けがヒットに結び付いたと考えられます。その結果、アニメファンといった特定の層だけでなく、一般層にまで知れ渡る人気作品になりました。この知名度の急上昇の結果、現在ではさまざまな企業とのコラボ企画が生まれています。これによってさらなるファン層の獲得も間違いないでしょう。
これらの点を考えると、2022年を象徴するアニメ作品は『SPY×FAMILY』だったと思います。しかし同時に「ジャンプ」系アニメ作品が多数話題になった年とも言えるでしょう。TVアニメ『鬼滅の刃 遊郭編』から始まり、劇場版として『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』、『ONE PIECE FILM RED』、『THE FIRST SLAM DUNK』といったヒット作品が続きます。
正確には『SPY×FAMILY』は「週刊少年ジャンプ」作品ではありません。(過去に読み切りの出張掲載は何度かあり)ネットでの活動をメインとした「少年ジャンプ+」の看板作品です。しかし系列的には同一のものであり、近い未来には紙媒体の雑誌よりも電子書籍が中心となる可能性だってあり得るかもしれません。そうなった場合、その前進拠点となったのは本作『SPY×FAMILY』だったと、後の歴史で語られることになるでしょう。それほどの勢いと可能性を持った作品です。