マグミクス | manga * anime * game

ジャズを知らずとも熱くなる映画『BLUE GIANT』 初心者ドラマー「玉田」視点で味わう王道展開

バトルシーンは「セッション」 個性や即興性が重視される世界

ジャズの頂点を目指す主人公・大のバンドに加入する、ドラム初心者の玉田 (C)2023 映画「BLUE GIANT」製作委員会 (C)2013 石塚真一/小学館
ジャズの頂点を目指す主人公・大のバンドに加入する、ドラム初心者の玉田 (C)2023 映画「BLUE GIANT」製作委員会 (C)2013 石塚真一/小学館

「世界一のジャズプレイヤーになる」。そんな野望を持ち、故郷の仙台から旅立った宮本大。無鉄砲な主人公を仲間たちがサポートし、ジャズシーンで快進撃していく『BLUE GIANT』は、少年マンガの王道的ストーリーが展開されます。

 少年マンガの必須要素であるバトルシーンの代わりとなるのが、ライブステージでのセッションです。大のサックス演奏は、ベテランプレイヤーや耳の肥えたジャズファンだけでなく、ジャズのことを知らない一般のお客たちも大興奮の渦へと巻き込んでいきます。

 大、雪祈、玉田の18歳トリオが目指すのは、日本のジャズプレイヤーたちにとっての「武道館」であり「東京ドーム」でもある、ジャズの名門ライブハウス「So Blue」のステージです。しかも3人は、10代でその夢を叶えようとします。友情、葛藤、挫折……、さまざまな要素が盛り込まれ、3人のバンド「JASS」の音はより熱く、より深い音色になるのでした。

「王道的少年」マンガと紹介しましたが、大人の音楽であるジャズが題材になっているだけに、夢や勢いだけの物語にはなっていないのも本作の魅力です。

 ジャズの世界では、プレイヤーの技量はもちろん、個性や即興性も重視されています。本作の見どころは、ライブシーンでの各パートのソロ演奏です。どれだけ熱く、どれだけ個性的で、かつ自由度の高い演奏を披露できるか。大たちは演奏を通して、自分の内面とも向き合い、大人のプレイヤーへと成熟していくことにもなるのです。

上原ひろみが書き下ろした「JASS」のナンバー

 ロックバンドと違い、ジャズプレイヤーたちはある程度のキャリアを積むと、それまで一緒に組んでいたプレイヤーとは別れ、別のプレイヤーと演奏することが多いのも特徴です。新しいプレイヤーと組むことで、さらに高い次元を目指すわけです。ジャズの世界が、大人っぽく感じられる要因のひとつでしょう。

 ジャズ初心者の玉田も、そのことは理解しています。自分にはない才能を持つ大や雪祈は、いつかは自分のもとから去っていくことを自覚しています。それでも玉田は、彼らと一緒にトリオを組めたことを後悔していません。10代の限られた時間とはいえ、ドラム演奏に身も心も捧げ、ステージに立つ者しか味わえない熱さを体感することができたからです。

 コミックでは聴くことができなかった「JASS」の演奏ですが、世界的なピアニストである上原ひろみさんが音楽を担当し、劇中曲「First Note」「N.E.W」「WE WILL」を書き下ろしています。どの曲も熱いです。大音量で楽しめる劇場で、ジャズの熱さにぜひ触れてみてください。

(長野辰次)

※映画『BLUE GIANT』は、2月17日より全国ロードショー
原作/石塚真一 監督/立川譲 脚本/NUMBER8 音楽/上原ひろみ
出演/山田裕貴、間宮祥太朗、岡山天音
演奏/馬場智章(サックス)、上原ひろみ(ピアノ)、石若駿(ドラム)
配給/東宝映像事業部
(C)2023 映画「BLUE GIANT」製作委員会 (C)2013 石塚真一/小学館

【画像】いつかバラバラになるとわかっていても! ジャズに心を燃やす3人のプレイヤー(9枚)

画像ギャラリー

1 2

長野辰次関連記事

もっと見る

アニメ最新記事

アニメの記事をもっと見る