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ジャズを知らずとも熱くなる映画『BLUE GIANT』 初心者ドラマー「玉田」視点で味わう王道展開

2023年2月17日から公開中の劇場アニメ『BLUE GIANT』を鑑賞した人たちから「熱い!」と評判になっています。石塚真一氏の同名コミックの初めてのアニメ化で、ジャズの世界が舞台です。主人公・宮本大の奏でるテナーサックスの熱さに、多くの観客が魅了されています。ジャズ初心者の心も震わせる、『BLUE GIANT』の魅力を探ります。

石塚真一氏のベストセラーコミックのアニメ化

映画『BLUE GIANT』ポスタービジュアル (C)2023 映画「BLUE GIANT」製作委員会 (C)2013 石塚真一/小学館
映画『BLUE GIANT』ポスタービジュアル (C)2023 映画「BLUE GIANT」製作委員会 (C)2013 石塚真一/小学館

 観ているだけで心が揺さぶられ、体温まで上がって感じられる。そんな熱いアニメーションに、出会ってみたいと思いませんか。人気漫画家・石塚真一氏のベストセラーコミックを劇場アニメーション化した『BLUE GIANT』は、まさに熱気あふれる作品です。良質のライブコンサートを体験したような、心地よい高揚感を味わうことができます。2023年2月17日に公開されるや、映画レビューサイト「フィルマークス」で「初日満足度」1位となっています。

 山岳救助を題材にした『岳 みんなの山』の大ヒットで知られる石塚氏が、かつて米国留学中にハマった音楽がジャズでした。「世界一のジャズプレイヤー」を目指す若者・宮本大を主人公にしたマンガ『BLUE GIANT』は、シリーズ累計900万部を超える大ベストセラーとなっています。演技力で定評のある山田裕貴さん、間宮祥太朗さん、岡山天音さんら若手俳優をボイスキャストに起用してのアニメーション化です。

 ジャズのことをまったく知らない人でも、十分に楽しめる内容です。特に今回の劇場アニメ版は、原作の第4巻~10巻にあたる「東京編」が描かれており、テナーサックスの練習に明け暮れる大(だい)に感化され、平凡な大学生・玉田俊二がドラムを叩き始めるという、「始まりの物語」です。ジャズ初心者の玉田の視点に立つことで、観客も一緒にジャズの世界に足を踏み入れることになるのです。

ジャズ初心者の玉田がキーパーソンに

 仙台の河原で炎天下の日も雪の日も、欠かさず練習に打ち込んできた宮本大(CV:山田裕貴)。彼が東京に上京し、天才的ピアニストの沢辺雪祈(CV:間宮祥太朗)と出会うことから、物語は大きく動き始めます。

 大はサックスを吹き始めてから、3年ちょっとしか経っていません。でも、大には「世界一のジャズプレイヤーになる」という意欲と、人を圧倒する音量、そして表現者としての「華」がありました。4歳からピアノを弾いている雪祈は、大の演奏を聴いて、すぐにその実力を認めます。

 しかし、大きな問題がありました。大と雪祈がライブステージに上がるには、リズムセクションであるドラムが必要です。ジャズに興味を持つ同世代の若いドラマーは、なかなか見つかりません。

 大は高校時代の親友・玉田俊二(CV:岡山天音)のアパートに居候していたのですが、大学生の玉田は自分がやりたいことが見つからないという悩みを抱えていました。ジャズに熱中する大のことを羨ましく感じていたのです。

 まったくの初心者ながら、玉田はドラムセットを購入し、音楽教室に通い、大と雪祈の練習に参加することに。才能ある2人の演奏に圧倒されながらも、リズムだけは懸命にキープしようと奮闘します。

 大の自由奔放な演奏は猛烈に熱いのですが、大汗を流し、指をボロボロにしながらも、必死で喰らいつく玉田の一途さもまた熱いのです。失敗を重ねながらも、玉田がライブごとに成長していく姿が、とても感動的です。才能のない人間を見下すクールな雪祈も、玉田の情熱だけは認めざるを得ません。

【画像】いつかバラバラになるとわかっていても! ジャズに心を燃やす3人のプレイヤー(9枚)

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