「ゲーム業界」経験者が語る、就職の現実 基本「社員は採用しない」理由とは?
ゲーム業界に就職したいと考えている方は大勢います。ネットにも情報はあふれていますが、果たして現実はどうなのでしょう? 実際にゲーム業界で長く働いていた筆者の経験をもとに、率直なところを記してみました。夢にあふれているように感じられる業界ですが、実際のところは?
ゲームは生活に「絶対必要なもの」ではない?

ゲーム業界に就職したいと考えている方は大勢いらっしゃると思います。ネットにはさまざまな情報がありますが、ゲーム開発会社が求める人材とはどのようなものなのか、ゲーム業界に身を置いてきた筆者の知る範囲のことにはなりますが、できるだけ言葉を飾らず実体験をもとに率直に書くことにします。
まずお伝えしたいのは、ゲームは私たちの生活に必須のものではないということです。皆さんが食費や光熱費など、絶対に必要なものにかかる費用で手一杯になったら、ゲームを買ったり課金したりはしないでしょう。ゲーム業界は社会の情勢に大きく左右されるハイリスク・ハイリターンな世界で、かなり成熟したとはいっても本質的にギャンブル(ベンチャー)という状況は変わらず、それでいて業界は飽和状態……ハイリスク・ローリターンどころか、ゼロやマイナスも不思議ではありません。
次に、ゲーム業界だからといって夢や希望にあふれているわけではありません。もちろん楽しいこともたくさんありますが、他の業種にも「その業種なりの楽しさがある」という範囲を超えるものではないと思います。上述した状況を考えればむしろ楽観的なことは言えず、生き残りをかけた厳しい戦いの最前線に身を置くかもしれませんので、自分から積極的に楽しさを見つけに行かない限り、苦しさの方が勝る可能性も大いにあるでしょう。
さて、これらを踏まえゲーム会社が求める人材を考えてみると……まずは「即戦力で費用が安く、苦労を知っている経験者」が挙がります。この都合の良い条件を叶えるのは社員ではなく外注という存在です。
ご存じの方もいるでしょうが、社員には給料を含めた「人件費」という費用がかかっています。通常、給料(手取額)の1.5~2倍で参考値が出るといわれていて、仮に手取り30万円の社員を1.8倍で計算すると、会社は毎月、人件費として利益から54万円引かれていることになります。
一方、外注の場合は社員ではないので報酬の額を支払うだけです。すると月額50万円でも、社員より毎月4万円安価です。外注は即戦力が前提なのでコストパフォーマンスは悪くありません。また社員は一度雇用したら簡単に解雇したり給料を下げたりはできません。浮き沈みの激しい業界で、かつ開発期間中の仕事量にも波があることを考えると、会社側は出費を柔軟に調整したいでしょう。その点でも外注は期間で区切って仕事を任せることができるので便利なのです。