マグミクス | manga * anime * game

今では考えられない、韓国80年代の「反共アニメ」 巨大ロボが北朝鮮と戦う?

ロボットと北朝鮮軍の戦いの末に……。

『ロボット王サンシャーク』ビデオのジャケットより(筆者提供)
『ロボット王サンシャーク』ビデオのジャケットより(筆者提供)

 そして、韓国「反共アニメ」の極めつけは『ロボット王サンシャーク』(1985年)でしょう。

 北朝鮮から送り込まれた武装工作員が山中の家を襲います。これを撃退するために韓国の予備軍が出動するという展開ですが、そんな状況のなかキャンプをしていた子供たちがサンシャークに乗り、オーロラ星からやってきた宇宙人とともに、韓国に攻め込もうとする北朝鮮軍と戦うのです。

 北朝鮮はスペクターという宇宙人から援助を受けていますが、スペクターは旧ソ連の比喩なのでしょう。北朝鮮の首領は首元に瘤がある人物として描かれており、おそらくキム・イルソンを意識していると思われます。北朝鮮の残虐さを強調するためか、スペクターはあっさり銃殺されます。宇宙人だろうと残虐に殺す、それが北朝鮮だということなのでしょう。

 作中、武装工作員により家を襲われ「私は共産党が嫌いだ」という少年が登場しますが、これはイ・スンボク(1968年に北朝鮮の武装工作員に殺されたという少年。韓国では「反共」のシンボル的な存在であり、記念館も建てられています)の事件をドラマに取り込んでいるのでしょうか。

 さて、作中、北朝鮮軍は戦車でトンネルを通り韓国に侵攻しようとしますが、サンシャークの活躍で阻止されます。宇宙人の巨大ロボットと北朝鮮が戦うという展開ですが、終盤で北朝鮮軍とサンシャークの戦いはすべて夢だったというオチが明かされます。現実の世界では、予備軍が武装工作員を殲滅して幕を閉じるのです。さすがにひどいオチだと思いました。

 なお、『サンシャーク』は『ウレメ』シリーズから本格化する、アニメと実写の合成作品の先駆けとしても知られています。韓国と北朝鮮の対立を色濃く反映したといえる「反共アニメ」は、見方によっては悲しい歴史の産物といえるでしょう。

(かに三匹)

【画像】あからさまな「悪者」描写も? 南北対立を反映したアニメ作品(5枚)

画像ギャラリー

1 2