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映画『ミステリと言う勿れ』なぜ大ヒット? 背景に「TV局の事業転換」 ドラマに活路見出す

配信とSNSに強い「考察系」ドラマ

原作マンガの最新刊となる『ミステリと言う勿れ』13巻(小学館)
原作マンガの最新刊となる『ミステリと言う勿れ』13巻(小学館)

 そんなテレビドラマのなかで主流のジャンルのひとつとなりつつあるのが、「考察系」と呼ばれるものです。

 物語の中に謎やトリビア的な要素をちりばめ、観た人が作品世界を考察できるようなタイプの作品で、今年の作品で例を出すと、製作費1話1億円の大型ドラマとして話題になった『VIVANT』などが該当します。

 こうした作品の特徴は、謎が謎を呼ぶ先読みできない展開にあり、SNSで真相の考察合戦が展開されることにあります。それゆえに、ネットで話題になりやすく、作品の人気を押し上げることにつながっているのです。ある意味で考察系ドラマは、これまで一方通行だったテレビのコンテンツに、インタラクティブな楽しみ方を追加したと言えるかもしれません。

 そして、考察系のメリットは配信で視聴数を伸ばしやすい点にもあります。考察のために何度も観る人がいるわけです。近年、見逃し配信の広告取引が好調に成長しているので、テレビ局も配信視聴数を重要視するようになってきていますが、考察系は配信市場でも有意な点があるのです。

『ミステリと言う勿れ』も謎解き要素の多い作品であり、主人公の久能整(くのう・ととのう)も謎の存在です。劇場版で描かれた「広島編」は、そんな久能の出自に関するヒントが出る内容でもあり、それを知りたい観客は劇場にまで足を運んだでしょう。久能についてもっと知りたい人は、原作マンガを購入するでしょうし、テレビドラマか劇場版で続編を作ってほしいと考えるでしょう。考察系には、継続視聴を促しやすいという強みもあると思います。

キャラ立ちした主人公を菅田将暉が公演

 こうした背景要因もあって『ミステリと言う勿れ』は大ヒットを記録していますが、もちろん最も大事なのは作品そのものの魅力です。

 本作は、何といっても主人公のキャラクターが立っています。天然パーマでいつもマフラーを巻いている独特の愛嬌ある風貌で、鋭い推理を展開するだけでなく、社会の理不尽を鋭く突く名セリフの数々。いわゆる「キャラ立ち」している存在です。

 そのキャラ立ちした主人公を演じる菅田将暉が素晴らしくて、原作の主人公の魅力を生身の身体で自然に引き出す好演を見せています。

 本作で描かれる広島編は原作でも人気あるエピソードですが、実写で作られたことで広島の風光明媚なロケが巧みに活かされているのも非常に良いポイントですし、遺産相続から始まる血塗られた一族の因縁も、原作以上におどろおどろしく演出されて強烈な印象を与えています。特に、劇中に出てくる朗読劇『鬼の集い』は、映像と音声がついたことで不気味さが増しています。

 そして、事件の解決も見事に感動的です。一本の映画として完成度が高く、その上、ドラマ版を未見の人でも楽しめるように作られています。

 おそらく劇場版のヒットで『ミステリと言う勿れ』は、さらに新たなファンを獲得したでしょう。フジテレビとしては継続して展開できるIPを獲得したとも言えるでしょう。本作の続編製作の発表はありませんが、原作エピソードのストックは充分にあるので、可能性は高いのではないかと思います。

(杉本穂高)

【画像】何を乗せてんだ? 『ミステリと言う勿れ』の謎すぎるポスター(5枚)

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