『ファイアーエムブレム』死んだ仲間は戻らない残酷さ 己の手でキャラを扱う責任
1990年4月に発売したファミコン用ソフト『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』は、当時のゲーム業界にシミュレーションRPGが定着するきっかけとなりました。戦争の道具でしかなかったユニットに命が吹き込まれ、「死んだキャラは二度と戻らない」ハードさがシリーズの特徴です。
いつまでも心にとどまる、キャラクター死亡メッセージ

「おれは……こんなもんじゃ……! 兄貴……ヨファ……すまね……え……」
アクションゲームやRPGをプレイしていてパーティーメンバーが倒れると、決まって筆者の脳内をよぎるのが上記の言葉。これはシミュレーションRPG『ファイアーエムブレム(以下『FE』)』シリーズ作品で流れた”キャラクター死亡メッセージ”です。
任天堂が1990年4月に発売したファミコン用ソフト『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』は、当時のゲーム業界にシミュレーションRPGが定着するきっかけとなりました。性能の異なるユニット(兵器や兵隊)を操って敵軍の壊滅を狙うSLG(シミュレーションゲーム)をベースに、各ユニットに詳細なプロフィールと顔グラフィックを追加。結果として、戦争の道具にすぎなかったユニットが命の込められた「キャラクター」へ生まれ変わったのです。

『FE』は据え置き機から携帯ゲーム機へとハードをわたり、2019年の現在まで続いているヒットタイトル。中世ファンタジーを下地にした舞台で、これまで幾多もの人間ドラマや英雄譚を描いてきました。
昨今では『暗黒竜と光の剣』『紋章の謎』のマルスや『蒼炎の軌跡』『暁の女神』のアイクといった主人公格が、人気ゲームのさまざまなキャラクターが登場するアクションゲーム『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズへ参戦していることもあり、「実際にゲームをプレイしたことはないけど、キャラクターはなんとなく知っている!」という方が多いかもしれません。
また、2019年7月発売の最新作『風花雪月』は物語を二部構成とし、同じ釜の飯を食べたかつての学友と矛を交えるシリアスな展開に。この『風花雪月』を含め、本シリーズは戦争に赴く人びとの生きざまや人間の生死にフォーカスしていますが、なかでも筆者の脳裏に焼き付いているのは『FE』特有の”ロスト”です。