TVシリーズを見ていない人のための『ガンダムSEED』入門 21世紀の「伝説」になる可能性も?
ファンが首を長くして待ち続けた劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が間もなく公開されます。今回はリアルタイム世代ではない人に向けて、その魅力を紹介します。
コンセプトは「21世紀のファーストガンダム」

2006年の発表以降、制作中とアナウンスされていたものの続報がなく、「幻の作品」のような扱いであった劇場版『機動戦士ガンダムSEED』がついに上映されます。正式タイトルは『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』。2024年1月26日(金)に公開が迫り、ガンダムファンがさまざまな話題で盛り上がるなか、放送当時『SEED』を観ていなかった世代、特に『機動戦士ガンダム』以来のファン層や、『SEED』放送時はガンダムに触れていなかった若い層のなかには、一抹の寂しさを覚えている人もいるでしょう。
今回はそうした「リアルタイム世代ではない」人びとに向けて、『ガンダムSEED』の位置づけと魅力を紹介します。
まずは「SEED」シリーズの基盤となるアニメ『機動戦士ガンダムSEED』をおさらいしましょう。同作は2002年10月5日から2003年9月27日にかけて放送された全50話のTVシリーズです。舞台は、遺伝子調整された人類「コーディネイター」と、これまでの人類「ナチュラル」が、「ザフト」と「地球連合軍」それぞれの勢力に分かれて戦いを繰り広げる「C.E.(コズミック・イラ)」という時代。コーディネーターの学生であるキラ・ヤマトが暮らす中立コロニー「ヘリオポリス」にザフトが侵攻したことから、物語が始まります。
同作のコンセプトは福田己津央監督によると「21世紀のファーストガンダム」だそうですが、「戦争に巻き込まれた特殊な力を持つ若者の物語」という側面だけでなく、特に前半は「主人公が暮らすコロニーが攻撃され、みんなで地球まで逃げて砂漠でおじさんキャラクターと出会って……」という風に、物語の展開や要素までもが『機動戦士ガンダム』を踏襲しています。
そのため、『機動戦士ガンダム』世代には見やすく(後半はオリジナリティの強い展開となり、その違いも楽しめます)、若い世代には『ガンダム』のスタンダードを知ることができる内容となっています。
また『機動戦士Zガンダム』と『機動戦士ガンダムZZ』以来、久しぶりのTVシリーズ続編となった『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』では、主人公がキラではなくシン・アスカに変わりますが(その実態については長くなるためここでは置いておきます)、そちらではザクやグフ、ドムといった『機動戦士ガンダム』の敵モビルスーツが登場するという直接的なオマージュもありました。
また『SEED DESTINY』以外にも、OVAやマンガ、小説などで同時代を舞台にした作品が多数展開されることによって世界観に厚みが増していることも、『機動戦士ガンダム』の宇宙世紀と共通している点です。