どんな僻地でも同じなのはなぜ 『ワンピ』世界の「共通言語」の謎が判明か?
広大で多様な文化を持つ『ONE PIECE』の世界に、言葉の壁が存在しないのはなぜでしょうか。物語の奥深くに隠された謎を、言語の視点から考えてみました。
マンガのお約束?それとも?

広大で多様な文化を持つ『ONE PIECE』ワールドでは、どの海域でも共通の言語が使われています。これはいったい、なぜなのでしょうか。最終章で徐々に世界の秘密が明かされつつあるなか、言語の面から『ONE PIECE』の隠された謎について考えます。
※この記事では『ONE PIECE』単行本未収録の最新展開の話題を含みます。
●本来なら多言語世界になっているのが自然では?
『ONE PIECE』ワールドに言葉の壁が存在しないのは、極めて不思議なことです。鎖国している「ワノ国」や「空島」のようにアクセスが困難な地域まで同じ言語が使われており、文字まで同じです。大海原に島々が点在するような世界では人の往来が難しいため、本来なら文化や言語が独自の発展を遂げていてもおかしくありません。
地球の国家で例えるなら、18000ほどの島からなり、2億7000万人以上もの人びとが住むインドネシアが適切でしょう。インドネシアには300以上の民族が存在し、文法や語彙が異なる500以上の言語が使われています。公用語としてインドネシア語が定められていますが、日常的に使っているのは3000万人ほどに留まっているとのことです。
このような実例からすると『ONE PIECE』ワールドでも、島ごとに異なる言語が使われていてもおかしくないはずです。
しかも「魚人」や「ミンク族」のような獣人含め、明らかに人間と異なる体の構造をした種族まで同じ言葉を使っています。水中でも呼吸が可能なエラを持つ魚人や、口の構造が人間と異なる獣人は、それぞれの肉体的特徴に応じた発声方法や、言葉を持っているのが自然ではないでしょうか。
このような不思議を「マンガ作劇上の都合」と、メタ的に解釈することは可能です。実際に『ONE PIECE』ワールドが多言語世界だったとしたら、ルフィたちの冒険は爽快感を欠き、読みづらいものになっていたかもしれません。
ちなみに、『ONE PIECE』25巻のSBS(質問コーナー)では、読者から「どうしてマンガの世界ではどこへ行ってもことばがつうじるのですか?」と、本作だけでなく「マンガあるある」への素朴な疑問がぶつけられました。これに対し、作者の尾田栄一郎先生は「漫画っていうのは、みんなの夢を、えがくものだからです。」と回答しています。
この時点では、「どこへ行っても言葉が通じたらいいな」というような人間の夢をマンガで描いている、という答えにも思えましたが、最近になって作中の天才科学者「ベガパンク」が世界の真実を明かしたことにより、『ONE PIECE』の言語問題は、作劇上の都合ではなく、尾田先生が周到に用意した設定上の必然だった可能性も高まりました。

