現実がSFに追いついた? 『Zガンダム』の「360度見渡せる操縦席」を実現したF-35!
現実的な課題と展望 応用は戦闘機のみに非ず

従来の戦闘機では、コックピット内の複数モニターを注視する必要があり、レーダー画面上で敵機を捕らえていても、数十km先の航空機は実際には見えないという問題がありました。しかし、EO-DASとHMDSがあれば、パイロットは直感的に分かりやすい情報として、常に位置情報を把握でき、状況認識を飛躍的に向上させることができます。
ただし、バイザーに投影される映像の視野は、中心から20度から30度程度の限られた範囲であり、完全な全周囲の視野を得られるというよりは、穴から覗き見る程度である点は、今後の改善課題といえるでしょう。
EO-DASのようなシステムは今後、F-35以外にも多くの戦闘機に搭載されていくことが予想されます。しかし、ソフトウェア開発の高度化にともなう開発遅延や、AI導入によるミッションコンピューターの処理能力要求性能の高度化、複雑化、それにともなうコスト増加といった課題も存在します。2024年現在、実戦配備されているF-35の「ブロック3F」と呼ばれるバージョンの開発費は、実に9兆円(555億ドル)にも達しているほどです。
全天周囲モニター技術の応用は戦闘機に限らず、自動車や建設機械などの操縦システムにも期待されています。たとえば、車庫入れ時に360度の周囲状況を合成して表示する車載システムや、建設機械の安全性の向上、作業効率の改善、さらには自動運転への応用など、その可能性は無限大です。
このように、全天周囲モニターはSFの世界から飛び出し、現実のものとなりつつあります。今後、この技術がどのように進化し、社会にどのような影響を与えていくのか、目が離せないところです。
(関賢太郎)







