「すぐ倒されそう」「人気投票1位になるなんて」モブ顔、悪人面からイケメン化したキャラたち
初期はモブ顔だったけど、人気投票1位に?

●『鬼滅の刃』の不死川実弥
『鬼滅の刃』で鬼殺隊士の最高位に立つ「柱」が初めて集結した「柱合裁判」では、主人公「竈門炭治郎」が「鬼である妹『禰豆子』を連れながら任務を行なっていたこと」が重大な隊律違反として審議されました。当然ながら柱たちからの反応は厳しく、特に「風柱」の「不死川実弥(しなずがわ さねみ)」は禰豆子の入っていた箱の外から刀を刺して傷つけたうえ、自らの腕を切りつけて流した血で挑発するという行動に出ます。
さらに実弥は顔も身体も傷だらけで、初登場時は目を見開いた表情で凄まじいインパクトを残しており、読者からは「あまりにも悪人面過ぎて鬼側のスパイなんじゃないかと思ってた」「行動も最悪過ぎるし怖いしで嫌いだった」と言われていました。一部のファンからは、カッと見開いた目を「アデリーペンギン」とも称されています。
しかし、物語が進むにつれ表情が徐々に穏やかになり、終盤では驚くくらいの優しい顔を見せ、禰豆子の頭を撫でていました。それまで鬼に激しい憎悪を抱きながら戦っていた実弥の、憑き物が落ちたような表情は初登場時とのギャップの激しさもあり、好きになった方も多いのではないでしょうか。
●『ヒカルの碁』の伊角慎一郎
平凡な小学生の主人公「進藤ヒカル」が、天才囲碁棋士「藤原佐為(ふじわらのさい)」の霊と出会ったことで囲碁に打ち込んでいく姿を描いた『ヒカルの碁』(原作:ほったゆみ/作画:小畑健)は、小中学生の間で囲碁がブームになるほど大きな影響を与えた作品です。
ヒカルはプロ棋士を養成する機関に所属する「院生」となり、さまざまなライバルたちと切磋琢磨しながら囲碁の腕を磨いていきます。そんなヒカルと同じ「院生」で優れた成績を持ちながらも、メンタル面での弱さから試験に落ち続けていた苦労人「伊角慎一郎」も、初登場時はモブキャラのような扱いでした。
しかし、院生での最年長で気配りもできて周りから慕われる性格であるだけでなく、院生でいられる年齢制限が迫る焦りなど人間らしさも描かれていた点が人気につながったのか、徐々にイケメンとして描かれるようになっていきます。そして「週刊少年ジャンプ」本誌で行われた第2回人気投票では、なんと2位だった佐為と倍以上の大差をつけて1位に輝きました。
人気投票の結果も影響したのか、一時的にヒカルが囲碁から離れた際は、院生を辞めた後に中国でメンタルの弱さを克服する伊角がメインの物語が描かれます。さらに伊角はヒカルが立ち直るきっかけを与えており、「最初のモブキャラ扱いが嘘みたいな大役」「囲碁から離れた気持ちが分かる伊角さんだからこそ」と、読者からも熱い支持を受けています。
※「禰豆子」の「禰」は「ネ」+「爾」が正しい表記
(田中泉)