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今夜の金ロー『塔の上のラプンツェル』 子供の自立心を奪う「毒親」の怖さ

ディズニーの3Dアニメ『塔の上のラプンツェル』は、塔の上で暮らすラプンツェルが、広い世界へと踏み出していく冒険ファンタジーです。グリム童話をベースにしたこの物語で、気になるのがラプンツェルを塔に閉じ込めた養母マザー・ゴーテルの存在です。世にいう「毒親」ゴーテルから、ラプンツェルはうまく逃げ切ることができるのでしょうか。

しょこたん演じるヤンチャなディズニーヒロイン

『塔の上のラプンツェル』 (C)Disney All Rights Reserved.
『塔の上のラプンツェル』 (C)Disney All Rights Reserved.

 ディズニーアニメ50作目を飾った長編アニメ『塔の上のラプンツェル』(2010年)は、高い塔の上に閉じ込められた少女ラプンツェル (CV:中川翔子)を主人公にした冒険ファンタジーです。外の世界に憧れるラプンツェルの心境は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために外出を控えている今の私たちと重なる部分があるのではないでしょうか。2020年5月1日(金)夜21時から「金曜ロードSHOW!」(日本テレビ系)でノーカット放映されます。

 ラプンツェルは幼い頃から塔の上で過ごし、髪の長さは21メートルもあります。美しい髪には不思議な力が秘められていますが、ラプンツェルの魅力はそれだけではありません。塔から飛び出して、広い世界を知りたいという夢を抱いています。『白雪姫』(1937年)や『眠れる森の美女』(1959年)といった従来のディズニープリンセスたちは王子さまが現れるのを待っていましたが、ラプンツェルは自分から行動を起こします。

 塔のなかに忍び込んできた泥棒フリン・ライダー(CV:畠中洋)をフライパンで殴り倒し、長い髪を使って拘束。さらにはフリンが持っていた盗品のティアラを奪い、ティアラと引き換えに、外の世界を案内するよう迫ります。ディズニープリンセス史上、かなりヤンチャなヒロインです。

ラプンツェルを苦しめる「毒親」の存在

 グリム童話をベースにした『塔の上のラプンツェル』で興味深いのは、ラプンツェルと彼女を塔の上に閉じ込めた養母マザー・ゴーテル(CV:剣幸)との関係性です。窓から見える広い世界に憧れるラプンツェルに対し、ゴーテルは「外の世界は危険」と外出を許そうとはしません。実はゴーテルは王さまとお妃の間に産まれたラプンツェルを連れ去って、塔の上に監禁していた誘拐犯だったのです。幼かったラプンツェルは、そのことを覚えていません。

 ゴーテルはラプンツェルの育ての親ですが、同時に犯罪者でもあるわけです。18歳になるラプンツェルに「お前はドジで、常識知らず」と言葉の暴力を振るい、「お前のためを思ってのこと」「お前をいちばん愛している」と猫なで声で懐柔します。

 言ってみれば、ゴーテルは「毒親」です。ラプンツェルの長い髪には不思議な力があるので、ゴーテルは手放したくないのです。ヤンチャなラプンツェルでも、幼い頃からずっと一緒に過ごしてきた「毒親」ゴーテルから逃げ出すのは容易ではありません。時に恐ろしく、時に優しい一面も見せる「毒親」との闘いは、多くの人たちが苦しみ続けているリアルな問題でもあります。

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