2025年のディズニーは「実写映画が不調」←全体的にどれくらい? 今後の期待できる要素は
『白雪姫』を含む2025年のディズニーの実写映画の「赤字」の問題と、今後の期待についてまとめてみましょう。
実写版『スティッチ』に寄せられる期待も

エンターテインメントの「王様」ともいえるディズニーですが、最近の実写映画の成績はあまり芳しくなく、はっきりと「赤字」が膨れ上がっていると思しき作品もあります。今後の期待も含めて振り返ってみましょう。
●実写『白雪姫』の赤字額は
2025年でとにかく話題になったのは、実写版『白雪姫』の莫大な製作費に比しての不調です。正確な製作費は明かされていませんが、宣伝費を含めずに350億円~395億円(2億4000万~2億7000万ドル)と推定されています。ここまで製作費が膨れあがったのは、コロナ禍での撮影延期や、セットの火災などに見舞われたことも原因でしょう。
しかし、北米の公開3日間の興行成績は約63億円(4220万ドル)で、ディズニー実写作品のなかでも、興行&批評的にも低調だった2019年の『ダンボ』をも下回りました。それでも息の長い興行が続けば良かったのですが、致命的だったのは『白雪姫』の翌週末の興収が66%も急減したことです。
映画の興行収入を記録、分析する米Box Office Mojoを参照すると、『白雪姫』は現状、北米での累計興収は約127億円(8718万ドル)、世界累計では約299億円(2億541万ドル)となっていました。一部報道での「約165億円」という赤字の見込みよりは少ない可能性もありますが、世界中での宣伝費も鑑みれば400億円近くにのぼるという見方もされています。
作品評価も芳しくなく、市場調査を行うシネマスコア社の調査では「B+」と、昨今のディズニー実写映画作品のなかでもっとも低いものでした。主演のレイチェル・ゼグラーさんの配役や、彼女のたびたびの政治的発言への反発も影響していたのでしょうが、やはり多くの観客を満足させられるクオリティーにはなっていなかったことも不調の原因でしょう。
『塔の上のラプンツェル』の実写映画の制作が一時停止となったのも、『白雪姫』の苦戦によるものだと分析されています。
●『キャプテン・アメリカ』4作目の2週目の落ち込みも話題に
大コケともいえる『白雪姫』の影に隠れていますが、ヒーロー映画シリーズ「マーベル・シネマティック・ユニバース(以下、MCU)」も成績が伸び悩んでいます。2月14日公開の『キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド』は、北米の公開4日間の興行成績は約140億円(1億ドル)と好調な滑り出しだったものの、芳しくない作品評価が影響したためか、翌週末の興収は68.3%ダウンと、『白雪姫』をも超える急減が話題となっていました。
続く『サンダーボルツ*』も北米の公開3日間の興収は約100億円(7430万ドル)と、MCU歴代で30位という低いスタートでした。MCUは「全36作品が北米初登場No.1」の記録を維持しているものの、これまで歴史的な大ヒットを打ち立てた作品と比べると、やはり苦戦しています。ただ、『サンダーボルツ*』は作品評価が高かったおかげか、2週目での下降率は前週比55.5%と少し和らいでいます。
なお、『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』の製作費は推定約260億円(1億8000万ドル)とMCUのなかでは控えめで、なんとか全世界興行収入は約580億円(4億ドル)に達しています。興行収入は劇場と折半と考えると、ギリギリ黒字になっているか、または赤字額としては大きくはないでしょう。
『サンダーボルツ*』も製作費が約260億円に対し、公開3週目で全世界の累計興収が約469億円(3億2500万ドル)になっているため、こちらも赤字額は少ないか、黒字化すると思われます。
●実写『リロ&スティッチ』には期待か
実写映画作品の不調、あるいは赤字が取り沙汰されるディズニーですが、期待されているのは日本で6月6日から公開予定の実写版『リロ&スティッチ』です。同作の製作費は約215億円(1億5000万ドル)とされており、ディズニーの実写映画のなかでは抑えられているほうで、さらに予告編の時点で特に実写のスティッチのモフモフとした質感のクオリティーや、かわいらしさが絶賛されています。
そして、全米では同日公開の『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』を抑えて1位となり、オープニング4日間の興行収入は約259億円(1億8300万ドル)という大ヒットスタートとなりました。
また、過去に傑作を連発してきたピクサーのアニメ映画にも、期待が寄せられています。過去作を振り返ると、たとえば、2023年の『マイ・エレメント』は公開当初の赤字予想を覆す「大逆転」が話題となっていました。北米でのオープニング興収が約42.5億円(2960万ドル)と苦戦していたものの、口コミで大盛り上がりして、公開から1か月半で世界興収は約725億円(5億ドル)と最終的に大ヒットしています。
さらに、『インサイド・ヘッド2』の世界興行収入は約2410億円(17億ドル)で、実写を含めた世界歴代興収の第9位にのぼりつめました。ピクサー作品は、『ソウルフル・ワールド』『あの夏のルカ』『私ときどきレッサーパンダ』がコロナ禍の影響を受けて当初は劇場公開されず配信スルーとなり、『バズ・ライトイヤー』も興収が伸び悩むなど不遇の時期が続きましたが、もう完全復活を遂げたといっていいでしょう。
ただ、世界的にオリジナル企画の映画の成績が厳しくなっている傾向はあるので、本作は日本では8月1日公開の『星つなぎのエリオ』がヒットするかはまだ分かりません。
この後もディズニーの実写映画では、7月25日に『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』、12月19日に『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』が控えています。ディズニー映画が完全復活できるかは、やはり作品評価そのものが要になるでしょう。『サンダーボルツ*』の評判の高さで、その「きざし」は見えているので、期待しています。
今後はまず、『リロ&スティッチ』の「2週目」がどうなるかに注目です。
(ヒナタカ)
