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ディズニー実写化でたびたび浮上する「ある問題」とは? 最新作『白雪姫』でも指摘

賛否両論を呼ぶ『白雪姫』のほか、近年いくつも作られているディズニーの実写映画化にはよく起きる「問題点?」があります。それは何か、実例とともに振り返ってみましょう。

「リアルな動物や魚」がしゃべるのは怖い?

実写版映画『白雪姫』ビジュアル (C)2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
実写版映画『白雪姫』ビジュアル (C)2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

 ディズニーの過去アニメ作品を実写映画化するシリーズは、賛否もありつつ長年人気を博し大ヒット作も多数生まれてきました。そのなかでたびたびファンからの指摘で出てくる、とある避けられない問題点があります。

 それはアニメでデフォルメされていた動物やファンタジックなキャラクターを、CGで現実寄りのデザインで再現することによって生まれてしまう「不気味の谷」の現象です。もともとは人間に近い見た目や動作をするロボットに対する言葉ながら、CGを用いたリアルよりの映像作品での違和感や怖さを表す際にも使われる傾向があります。

 当たり前といえば当たり前ですが、「アニメでこそ可能なコミカルでデフォルメされたキャラの表現」を、そのまま「現実の世界に即した実写(リアルなCG)」に落とし込むことは難しいという事実も思い知らされます。

 公開中の『白雪姫』(2025年)でも、おなじみの「7人のこびと」たちが、等身の低い身体にリアルながらも鼻や口が膨らんだ大きな人間の顔が乗っているデザインとなり、「怖い」「周りの人間が普通なのに変」という意見も出てきました。そのほかにも、作品それぞれでどのような「不気味の谷」問題があったか、またはある程度は解消されていたのかを、簡潔に振り返ってみましょう。

●『ダンボ』(2019年)

 80年以上前の名作『ダンボ』(1941年)の実写版では、主人公のゾウ「ダンボ」がリアルに近付いています。一方、ダンボという題材である以上、有名な空を飛ぶための「大きな耳」はしっかり再現されていました。CGのクオリティーが高く、「重量」まで感じさせる質感だったため、一部で「空を飛んでいる姿に違和感を覚えた」といった声が出てしまったのも事実です。

 また、頭身や頭の形は現実のゾウからほんの少しデフォルメされ、さらに原作準拠のブルーの目という「アニメに近い」造形も混在しています。リアルかつ誰もがダンボだと分かるデザインにする苦慮は感じましたが、いざ公開されると実写版ダンボには「アニメ同様ちゃんとかわいい」「実写だとピエロメイクの悲哀が増して不憫かつかわいい」と愛でる声が相次ぎました。

 ストーリーの面でも、オリジナルの「他人と違う特徴は美点になる」というメッセージのその先を行く物語が見られ、現代で描き直す意義があったのではないでしょうか。

●『ライオン・キング』(2019年)

 人間は一切出てこない『ライオン・キング』の実写版は、「超実写版」とまで銘打たれるほどの、全編フルCGのリアルな映像が売りになっていました。前述したダンボは言葉を話さなかったのですが、こちらでは動物たちが「ある程度は口も動かして」言葉を話している、あるいは人間がアフレコで声を当てているような印象も含めて、「不気味の谷」現象を感じた人が一定数いたようです。

 物語上でも、リアルな実写にしたことで、実質的にサバンナの動物たちの「弱肉強食」の世界の残酷さが際立ってしまっているという指摘もあります。ただこのリアルすぎる実写のようなCGで、奇跡的映像を見せるというのが本作の強みで、劇場で観るととにかく映像のすごさの感動が際立ちました。映像で魅せる、という主眼があるからかストーリーの改変も少なく、その点でも好評の意見は多いです。

●『リトル・マーメイド』(2023年)

 海のなかがリアルに描かれる『リトル・マーメイド』では、主人公「アリエル」と行動するカニの「セバスチャン」と魚の「フランダー」が、「あまりにカニと魚すぎる」という意見が見られました。アニメではセバスチャンの口うるさい執事、フランダーのかわいらしい男の子という「らしさ」が、その表情や一挙一動から分かりやすく映し出されています。

 一方で、リアルな甲殻類、魚類ではそういった特性が伝わりづらく、「カニと魚がコミカルな言動をしている」ことに不気味の谷を感じた人もいたのでしょう。とはいえ、人間(人魚)のキャラクターが大半であるため、他作品よりは不気味の谷の指摘は少なめですし、人魚たちの造形にも違和感はほぼありません。人間たちが住む陸の世界、さまざまな品物が並ぶお店の光景も実写ならではの魅力がありました。

 ディズニーの実写版では、これまでさまざまなキャラが3次元化されてきましたが、そもそも「不気味の谷を感じさせるキャラを登場させない」「設定を変える」という方法も有効と言えるでしょう。

 実写版『ムーラン』(2020年)では、再現が困難だと思われる、マスコットキャラのドラゴン「ムーシュー」がそもそも登場しませんでした。それもまた賛否はありますが、不気味の谷を感じさせないためには有効な手段です。

 また、評価の高かった『アラジン』(2019年)でも、不気味の谷の指摘は少なめです。猿の「アブー」は原作のアニメと同じくしゃべらない上に、身のこなしもそれほど現実の猿と乖離はしていません。インコの「イアーゴ」は原作では悪辣なしゃべり方をするキャラでしたが、実写では「人間の言葉で返す」という程度に調整されており違和感は少なめでした。

 その『アラジン』では、いかにも実写での再現が難しそうな、喜怒哀楽が激しくマシンガントークをするランプの魔人「ジーニー」を、同じく陽気な印象が強いウィル・スミスさんが演じたことは大好評でした。そのスミスさんはインタビューで「全身が青い状態のジーニーは全部CG」と打ち明けており、その違和感のなさには驚きを隠せません。これはもう「ウィル・スミスパワー」のおかげと言えるでしょう。

 そもそも不気味の谷を感じるかは人それぞれで大きく異なりますし、前述した『白雪姫』で賛否を呼んだこびとたちも、個人的にはコミカルな言動もあってすぐに慣れました。また、同作品のウサギやシカなどの森の動物たちは目がくりっとした造形や毛のモフモフした質感が愛らしく、好評を得ています。

 ディズニー作品では、他の実写化作品よりもアニメの印象が強固であり、かつCGの技術と表現が進化して限りなく現実と近付いているからこそ、不気味の谷をより感じやすいともいえます。その試行錯誤も興味深いですし、その不気味の谷を完全に乗り越えるような進化にもまた期待したいところです。

(ヒナタカ)

【画像】え…っ?「小さいのかデカいのか」「顔が…」 こちらがリアルなCGで再現された実写『白雪姫』の小人たちです

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