大人でもトラウマな冒険ものアニメ映画 「危険度高すぎ」「そりゃR指定ですよね」
『天空の城ラピュタ』や『ピーター・パン』など、これまで数多くの「冒険」を描いた名作アニメ映画が作られてきました。しかし、冒険には危険はつきもので、なかにはあまりにも過酷な内容でR指定となった作品まであります。
PG12からR指定への変更も当然?

第97回アカデミー賞で、ラトビアのアニメ映画『Flow』が最優秀長編アニメーション賞を受賞しました。2025年3月14日(金)から日本公開されている本作は、洪水に呑まれかけている世界を舞台に、ボートに乗り込んだ1匹の猫と途中で出会う動物たちの冒険を描いています。
そういった冒険、旅が題材の物語はストーリーが進むにつれて舞台も変わり、さまざまな場面が楽しめるのも魅力です。ただ、『Flow』の洪水しかり冒険には危険がつきもので、なかには絵柄はかわいいのに、かなりハードな世界観で観客にトラウマを植え付けたアニメ映画もありました。
たとえば2016年に日本公開されたピクサーのCGアニメ映画『アーロと少年』は、意外なほどに恐ろしいシーンがたくさんあります。本作は恐竜が絶滅を免れ、言語や文化を持つまでに進化した世界が舞台で、主人公のアパトサウルスの少年「アーロ」と、彼の家の食料貯蔵庫を荒らしていた人間(しゃべれない)の子供「スポット」の交流、冒険を描いた物語です。
安定のピクサーブランドで、もちろん内容は面白いのですが、「序盤で主人公の父『ヘンリー』が鉄砲水に飲み込まれ死亡する」「昆虫やヒルなど、生き物たちの描写が妙にリアル」「悪役の翼竜たちが躊躇なく小動物を食べる」など、子供と観るには注意が必要な要素が盛り込まれていました。
そして、最大のトラウマシーンと言えるのは、中盤の「ドラッグ描写」でしょう。アーロとスポットは道中、木の下に落ちていた腐った果実を食べ、恐ろしい作用をもたらします。
ふたりは大声で笑い出し、周りの木々が歪んだり、幻覚でアーロの目がいきなり何個も増えたり、スポットの顔がふくらんだりと、狂気的な映像が続きました。そして、彼らはお互いの頭と身体が入れ替わった姿で、楽しそうに空中を走ります。
短いながら脳裏にこびりつく場面で、公開時は「劇場の大スクリーンで観たら本当に怖い場面」「個人的には攻めててよかったんだけど、子供にトラウマを植え付ける可能性は大だと思う」などと、かなり話題になりました。
イギリスの作家リチャード・アダムスさんの児童文学原作のアニメ映画『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』(1978年)も、一見かわいい絵柄の作品ながら、トラウマ級の場面がてんこ盛りです。
予知能力を持つうさぎ「ファイバー」の予言をきっかけに、その兄「ヘイズル」ほか野うさぎたちが「安住の地」を目指す過酷な旅を描いており、猛獣や人間の罠に出くわすだけでなく、食用うさぎが育てられる養兔場なども出てきます。
終盤では恐ろしい見た目のうさぎ「ウーンドウォート将軍」の軍勢との争いも起き、はっきりと残酷シーンも描かれました。本作は2024年11月30日よりHDリマスター版のリバイバル上映が行われており、「ウーンドウォート将軍と『ビグウィグ』の巣穴での戦いは、ドロドロとした命の削り合いで怖かった」「宅地開発や道路工事とか、自然破壊が動物にいかに酷か改めて思い知らされて、人間が嫌になる」など、そのハードな世界観にさまざまな意見が相次いでいます。
うさぎたちの社会を通して人間の世界の風刺する要素もあり、大人こそ楽しめる名作です。ただ、うさぎ好きの人は注意が必要でしょう。
そのほか、しっかり年齢制限が設けられた冒険物語では、2020年の『メイドインアビス 深き魂の黎明』(原作:つくしあきひと)が強烈でした。2017年に放送されたTVアニメ第1期の続編である本作は、公開直前にPG12指定からR15+指定に変更されています。それにともない、観られなくなった15歳未満の観客への各種前売券の返金対応も行われました。
『メイドインアビス』は謎多き危険な秘境の大穴「アビス」を探検する少女「リコ」と、記憶を失ったロボットの少年「レグ」の物語を描いており、その過酷な旅のなかで数々のトラウマシーンが出てきました。映画でも、寄生生物「クオンガタリ」によって生きたままミイラ化させられている探検家が出てきたり、肉と骨を溶かす毒を持つ巨大サソリのような生物「カッショウガシラ」が登場したり、レグが裸で人体実験を受けたりと、容赦ない場面が相次ぎます。
さらに、悪役である黎明卿の名を持つ科学者「ボンドルド卿」が開発した、「アビスの呪い」を肩代わりさせる装備「カートリッジ」に関して、あまりにも残酷な展開、描写も盛り込まれていたため、公開後は「むしろなぜ最初PG12でいけると思ってたのか」「成人でも泣くのに子供観たら泣いちゃうからR15で本当に正解」などの声が続出しました。
(マグミクス編集部)