『ガンダム』もう辱めってレベルじゃね? 連邦でいいように(?)扱われた「ザクII」
ジオン公国軍の顔であり誇りでもある「ザクII」も所詮は敗戦国の兵器ということでしょうか。一年戦争ののち、連邦軍に接収された同機は、ずいぶんな扱いを受けていたようです。また「顔」という部分も利用された様子です。
ジオンの「顔」も戦後は…

いわゆる「宇宙世紀」シリーズの「ガンダム」作品において、モビルスーツ(MS)「ザクII」といえばジオン公国軍の「顔」、関係する人々の誇りのような存在といえるでしょう。そのような「ザクII」も一年戦争ののち、連邦サイドではずいぶん屈辱的な扱いを受けていたようです。
そのような姿が、OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』のなかに垣間見られます。物語の最序盤、連邦軍の実験機である「パワード・ジム」の標的機として登場し、パイロットの技量という要素はあるかもしれませんが、ザクIIの3機がかりでもほぼ一方的に翻弄されるような描写が見られました。標的機を操縦していた本作主人公の「コウ・ウラキ」には「このザクめ、なんて動きが鈍いんだ」と吐き捨てられる始末です。
このザクIIはF2型、すなわち一年戦争後期に量産されたタイプで、戦後、連邦軍に接収された機体といいます。機体カラーも、代名詞的なグリーンから白っぽいベージュに塗装されていました。
そのように連邦の色に染まったザクIIの姿は、元ジオン軍人にはやはり思うところがあるようです。ジオン残党組織「デラーズ・フリート」のMSパイロット「ゲイリー」は、連邦軍基地から出てきたベージュ色のザクIIをひと目見るや「あれは! ザク、か……」と驚き、「連邦に降ったのか、その姿は忍びん」と口にしています。
ゲイリーはこのあと戦死してしまった様子ですが、もう少し長生きして「ハイザック」を目にしていたら、きっと絶句していたことでしょう。こちらはアニメ『機動戦士Zガンダム』に登場するMSで、地球連邦軍の軍閥組織「ティターンズ」に配備された量産機です。
「ハイザック」は、「ザクII F2型」や「アクトザク」をベースに、地球連邦軍とアナハイム・エレクトロニクスが共同開発した機体とされており、ぱっと見はザクIIそのものといった風体ながら、胸のあたりやシールドなどに連邦系MSの意匠が見られます。なにより顔がほぼザクIIそのままで、機体色もグリーンなのです。生粋のジオン軍人から見れば「ウチのザクが連邦で魔改造された」と大いに嘆くところかもしれません。
しかも性能的には微妙なもので、ビーム兵器がほぼ当たり前となった時代に「ビーム射撃武器とサーベルの同時使用ができない」というものでした。「ハイザック」以前に配備されていた「ジム・クゥエル」はこれが可能です。加えて「ジム・クゥエル」は、その他のスペック的にも「ハイザック」にさほど見劣りするものではありませんでした。
そのような「ハイザック」が、ジオン残党狩りを目的に結成されたジオン大嫌いなはずの「ティターンズ」に、「ジム・クゥエル」を置き換えてまで配備されているのです。もはやジオン残党に対する嫌がらせだけが目的の機体、つまり「ジオンの顔」たる部分だけが目的ともいえそうで、であるならば「ザクII」およびこれを誇りに思うジオンサイドの人にとって、これほどの屈辱はないでしょう。
このように、連邦側に渡った「ザクII」およびその遺伝子(データや設計思想など)は、ずいぶんといいように扱われ利用されていた様子がうかがえます。「ハマーン・カーン」および「シャア・アズナブル」の「ネオ・ジオン」において、「我々のザク」たる「ザクIII」や「ギラ・ドーガ」が開発されたのも、むべなるかなといったところではないでしょうか。
(マグミクス編集部)