「ガッカリじゃないけど複雑」陸戦型ガンダムが殻を破った「ガンダム」という「神話」
『第08MS小隊』の陸戦型ガンダムが登場した当時、「量産されるガンダム」に多くのファンが衝撃を受けたようです。「ガンダムらしさが足りない」とも見られた泥臭い機体は、しかし、実に画期的な「発明」でもありました。
「そういうのアリなんだ」

おなじみ「陸戦型ガンダム」、型式番号「RX-79[G]」の登場は、ある種の衝撃だったといいます。
「『あぁ、何機もあっていいんだ』という感じでしょうか。ガッカリしたわけじゃないですけど、『そういうのアリなんだ』みたいな。それまでのなんというか、作品世界のルールのようなものが破られた感じがしました」
「一年戦争」を舞台とするOVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』が発表された1996年から1999年にかけて、当時まだお子様だったという男性は「陸戦型ガンダム」、すなわち「量産されるガンダム」という概念にふれた感想を、そのように話します。
それまでの一年戦争を舞台とした作品において「ガンダム」は、「希望の象徴」「白い悪魔」といった、唯一無二の存在として描かれてきたといえるでしょう。言ってしまえば、「RX-78-2 ガンダム」は、「アムロ・レイ」という特別なパイロットと一体となって語られる「伝説の機体」だったのです。
ところが陸戦型ガンダムは、RX-78の余剰部品を用い急造された量産機という設定でした。パイロットも『第08MS小隊』主人公の「シロー・アマダ」をはじめ、劇中で複数人が務めています。
この設定は、神話的な存在から「前線の道具」へとガンダムの位置づけを大きく変えたといえるでしょう。確かに性能は高く、重力下ではRX-78に匹敵するとされていましたが、「特別な1機」から「実用兵器」へというのは、価値観の大転換のはずです。
マグミクスが2025年7月31日に配信した記事「『ガンダム』なんだかB級感? だがそれがいい 顔だけの『なんちゃってガンダム』」に対するコメントのなかにも、陸戦型ガンダムについて当初は「陸戦専用であるとか、標準武装が実弾式マシンガンだとか、汎用機ながらコアファイターが無いとか、ちょっとガンダムらしさが足りないなぁ、と思ったな」といった意見が寄せられていました。
ところがこの「らしさに欠ける」という評価は、むしろ陸戦型ガンダムの魅力として評価される点でもある、といえるでしょう。
「100mmマシンガン」や「180mmキャノン」といった実弾兵器は、「ビーム・ライフル」の印象が強すぎるRX-78とは対照的に、あらゆる戦術状況に対応する陸戦型ガンダムの汎用的なイメージにひと役買っているといえそうです。さらに注目すべきは、ウェポンコンテナによる装備の運搬、関節部の防塵措置、そして何より現地改修による「ジムヘッド」の装着といった要素です。
「余剰パーツによる急造品」という設定も、「後付けの割にはよく出来た設定だとは思ったよ。そりゃガンダムといえばあんだけの試作高性能機、試作パーツや余剰パーツの山が出来上がって当然で、それで数台組めて当然だもの」というコメントに見られるように、現実的な軍事開発の観点から見れば、むしろ自然なものとして受け入れる向きもあるようです。
そして、こうした「泥臭さ」こそが、大きな魅力として愛されているのではないでしょうか。
「アムロ」と紐づけされていない「ガンダム」という点についても、「以降の一年戦争を舞台にしたゲームで、一般パイロットが曲がりなりにも『ガンダム』に乗れる理由付けが出来たのは大きいです」と評する声が聞かれました。
なお陸戦型ガンダムは「量産機」とはいえ生産数は少数にとどまり、資料によりばらつきはあるものの、おおむね20機前後から20数機とされています。
(マグミクス編集部)


