「ガンダム」シリーズでも特異? 『第08MS小隊』に登場のレア&変わりダネ「ザク」
OVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』といえば、リアル志向の地上戦が印象的な作品でしょうか。そのような同作品には、「ガンダム」シリーズでも珍しいレア&変わりダネな「ザク」が登場します。どのような機体なのでしょうか。
現地改修機に実験機に…あと「番外編」も!

アニメ『機動戦士ガンダム』の、ある意味で「顔」ともいえるモビルスーツ「ザク」は、その機体バリエーションの多さでも知られます。映像作品に登場していなくても、ガンプラ人気の波に乗って実にたくさんのバリエーションが世に送り出されてきました。
そうしたなかから、OVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』に登場したレア&変わりダネな「ザク」を見ていきましょう。
●MS-06V「ザクタンク」
「ザクタンク」は、「MS-06V」という型式番号が振られているものの、工場でそれとして生産されたものではなく、前線などで破損した機体を再利用するなかで作られたものです。「ザク」の上半身に、戦車「マゼラ・アタック」の基部「マゼラ・ベース」を組み合わせたもので、作業用という位置付けでした。MSの手にあたる部分のマニュピレーターなどからも、建設重機のような印象を受ける機体といえます。
初出は模型企画「MSV」で、キット化もされており、当時のガンプラブームのただ中にあった世代には広く知られた機体であるといえるでしょう。そちらでは「ザクII」の上半身を使用したものでしたが、『第08MS小隊』では「旧ザク」こと「ザクI」の上半身を使用したものが描かれました。
●MS-06RD-4「高機動試作型ザク」
『第08MS小隊』劇中では、ヒロイン「アイナ・サハリン」の乗機として登場しました。主人公「シロー・アマダ」の「ボール」と交戦した機体です。
型式番号に「R」とつけられているものの、大型のランドセルがなかったり、脚部が「リック・ドム」のそれに似ていたりと、いわゆるR型の「高機動型ザク」とはだいぶ異なる機体といえるでしょう。そもそもがデータ収集用の実験機であることからも、R型のバリエーションとみなすか否かについては意見が割れているようです。
なお本機は、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の企画「Mobile Suit Discovery(MSD)」にも登場しており、そちらではツィマット社が宇宙用MSを独自に開発する過程で試作したものといい、そのデータが「リック・ドム」の短期開発に貢献したとされています。
●番外編 「アプサラス」シリーズ
「アプサラス」は、上述した「アイナ・サハリン」の実兄で、ジオン軍技術少将の「ギニアス・サハリン」が開発に心血を注いだ、連邦軍本部ジャブロー基地攻撃用のモビルアーマーです。劇中では「III」までが登場しました。
なぜ「ザク」のバリエーションとして本機が挙げられるかといえば、機体に「ザクII」の頭部が使用されているという点に尽きます。一説には、カメラアイやセンサー類を流用しているとか。逆になぜ「番外編」としているかといえば、本機を「ザク」のバリエーションとみなす声はほとんど聞かれないから、というわけです。
そもそもの機体が大きいこともあって、そのザクヘッド部分はあまり目立たないデザインで、もしかすると言われなければ気づかない人もいるかもしれません。ところが頭身の低い(=頭部が大きい)デフォルメタイプのデザインになると、これが途端に存在感を発揮し、「ザク」のバリエーションとして扱いたくなる理由が理解できることでしょう。



