「映画コナン」大ヒットの影で、顕在化する「スクリーン不足」 ファンが推す「良作」が早期終映のケースも
スクリーンが少ない地域では公共施設の活用も

2026年4月10日(金)から上映されている劇場版第29作『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』は、Tジョイ・横浜では公開初日に59回。TOHOシネマズ新宿では44回と、信じがたい数の上映が行われました。公開から3日間で興収は35億円を突破しています。なお、29年前に公開された初代『コナン』劇場版の興収は最終的に約11億円だったため、わずか3日で初代の3倍以上の興収をあげるビッグコンテンツへと成長した形です。
前述のTジョイ・横浜は、同作の舞台となる横浜ということもあって、ひときわ上映に力を入れているケースですが、ほかの映画館でも、『ハイウェイの堕天使』を1日20回以上まわす一方、公開から時間が経った他の劇場アニメは1日1回のみ、というところが多く、それらの作品ファン層から見れば「稼げる作品に追いやられている」印象を持ってしまうかもしれません。
人気作にスクリーンを集中させるのは悪いことではありません。大作の稼ぎで映画業界が潤うことにより、オリジナル作品を作る土壌が生まれるためです。ヒットを狙って作った映画が不発に終わることなどよくあります。確実にヒットする作品があるならば、その作品に稼いでもらうことが、映画業界に継続して挑戦する力を与えることになるでしょう。
ではどうすればいいのか? 映画館がない地域にも「可能性」が
映画業界も黙ってこの状況を見過ごしているわけではありません。東宝は2026年3月28日に「TOHOシネマズ 大井町」をオープン、6月11日(木)には名古屋栄にもオープン予定となっており、スクリーン数そのものの拡充に動いています。
映画館側も、子供や家族連れが多く訪れる時間帯は大作を放映し、深夜にかかる時間帯に他の高評価作品を上映するなど、多彩な作品を多くの人に届けようと努力を続けています。また、『超かぐや姫!』では全都道府県での上映を行うために、スクリーンを確保できなかった高知県で5月2日(土)に「高知県立県民文化ホール」での特別上映が予定されています。
もともと映画館が少ない地域にも、「公共施設」というスクリーンが眠っています。ビジネスと観客の熱量との折り合いを付けるのは簡単ではありませんが、映画を見るという特別な体験を文化として継続するために、多くの人が努力しています。これはとてもありがたいことではないでしょうか。
(早川清一朗)



