12月28日は藤田淑子さんの命日。『ダイの大冒険』に「ムーミンの歌」、大人の女性役も
絶妙な演技力を発揮していた『パタリロ!』のマライヒ

大人の女性役について語る前に、藤田さんの代表的キャラである『パタリロ!』(1982年)のマライヒを忘れてはいけません。
マライヒは美少年でありながら、作品的な立ち位置はヒロイン扱いでした。設定をくわしく知らない人の中にはマライヒを女性だと思っている人も多いかもしれません。藤田さんがマライヒを演じている声を聴くと、あくまでもベースは男の子の声なんだけど、艶があって可愛いと思わせる絶妙な演技力を感じ取れます。例えて言うなら、宝塚の男性役のような雰囲気。藤田さんの技量があるからこそ演じることができたキャラだとは思いませんか?
そして藤田さんの代表的な大人の女性キャラとなるのが、『キャッツ・アイ』(1983年)の来生泪。3姉妹の長女という、もっとも大人の魅力あふれる女性を演じています。当時、『スペースコブラ』(1982年)で演じていたジェーンと同じ3姉妹という共通点を指摘するファンもいました。
前述したように、この時期以降は大人の女性役としても定番となっていきます。『ふたり鷹』(1984年)の沢渡緋沙子、『北斗の拳』(1985年~)のマミヤ、『サイレントメビウス』(1991年)のラリー・シャイアン、『ガラスの仮面』(2005年)の月影千草など、一度その声を聴いたら忘れることができない印象深いキャラばかりでした。クールなイメージのある魅力的な女性役が多いです。
もちろん、元気のいい男の子役が多いことも忘れてはいけません。
中でもロングランとなった『キテレツ大百科』(1988年~)のキテレツこと木手英一は、一般的な知名度がもっとも高いキャラだと思います。ほかにも『新ビックリマン』(1989年)のピア・マルコ、『ロミオの青い空』(1995年)のアルフレド・マルティーニ、『地獄先生ぬ~べ~』(1996年)の立野広など、耳に残るキャラは大勢います。
しかし、最初に挙げた『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』のダイと、『デジモンアドベンチャー』の八神太一の2役は、今年2020年にリメイクされたほどの人気作品。ファンにはもっともなじみ深いキャラかもしれません。
今でも藤田さんが命を吹き込んだキャラの数々は、私たちの心の中でいきいきと動いていることでしょう。こうして御命日に思い出すことで、その功績を後世にも伝えたいと思います。
(加々美利治)