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「完結」しなかった昭和のジャンプ名作3選。読者も唖然、まさかの「続きはアニメで」

1968年の創刊以来、数々のヒット作を放っている「週刊少年ジャンプ」ですが、その歴史を振り返ると、突然「これで終わり!?」と最終回を迎えた謎多き作品も少なくありません。昭和の名作からそんな3作品をご紹介します。

「さあこれから!」という所で…インパクト絶大な最終回

(画像:写真AC)
(画像:写真AC)

 創刊以来、現在に至るまで数々のヒット作を放っている「週刊少年ジャンプ」ですが、同誌で連載された「昭和の名作」と呼ばれる作品のなかには、唐突に連載が終了して読者を驚かせた作品もあります。今回は「完結」しなかった昭和のジャンプ3作品をご紹介します。

●唐突な連載終了の真相は…永井豪『マジンガーZ』 (1972年42号~1973年35号)

「週刊少年ジャンプ」で連載していた事実を知る人は少ないかもしれません。というのも、連載期間が1年未満で最終回が中途半端だったから。最終回の内容はというと……

 マジンガーZが敵の飛行要塞を撃墜、あしゅら男爵とブロッケン伯爵を倒します。そしてついに総大将Dr.ヘルが自らバードス島を動かし、いよいよZと最終決戦! ……読者の誰もが手に汗握ったところで、なんと「完」。しかも最後に書かれたのは……

【この続きのストーリーはアニメでやって行くガスよ、ウフンさやかに会いたい人はチャンネル回して~ん』

と、人を食ったような終わり方でした。

『マジンガーZ』はアニメ先行の企画でもあり、大人気となります。ところが、アニメのスポンサーの関係で「テレビマガジン」(月刊誌・講談社)と平行連載することに。それを知ったジャンプは激怒します。また、原稿料などをめぐって折り合わない要素も重なって終了という流れだったようです。

 ジャンプでの連載終了後、「テレビマガジン」で各話20ページ読み切りの連載がスタート。『グレートマジンガー』にバトンタッチする衝撃の最終回は、アニメとリンクして完結しています。

●時代を先取りしすぎた!? 星野之宣『ブルーシティー』 (1976年2号~21号)

 SFマンガの巨匠・星野之宣の初連載作品。全18話、コミック2巻という短命でしたが、今なおカルトなファンが多い海洋SF巨編です。

 宇宙ステーションと衝突した隕石に付着していた病原体に地球上の全人類が侵されます。残ったのは実験海底都市「ブルーシティー」の科学者2万人。そんな中、ドクター・ジェノサイドという者が宇宙ステーション爆発と同時にウイルスを放った事実が判明します。主人公・船縁令(ふなべりれい)たちは人類存続を賭けジェノサイドとの戦いに挑む……。

 ……さあこれから! というところで終了します。理由は “読者アンケートで不評”だったからと推測されます。絵が劇画チックでウケが悪かったと言われています。また、“内容が時代を先取りし過ぎていた?”という声も聞かれました。

 作品の良さが再認識されるのは連載終了から5年以上経ってからでした。1979年には前日譚となる『海の牙』(週刊少年ジャンプ1/25増刊号)、1984年には続編となる『バトル・ブルー』(週刊ヤングジャンプ)が3話掲載されましたが、これも未完です。

●可愛い女の子イラストの原点。江口寿史『ストップ!!ひばりくん!』(1981年45号~1983年51号)

 連載期間は約2年ですが、なぜか全49話と少ないのは理由があり、完結しなかったのもその話数の影響でした。

 物語は、母との死別からヤクザの大空組一家と暮らすことになった高校生の坂本耕作と、美少女にしか見えないが実は男という秘密を持つ大空家長男・大空ひばりを中心としたドタバタラブコメディ。

 江口先生は、徐々にひばりを可愛く描くというこだわりが強くなり、完成が遅れて休載を繰り返すように。作品はアニメ化され人気は上がりますが、掲載しても10ページ前後という回も多く、挙句の果てには逃亡したため打ち切りになってしまいました。

 最終話「硬派激二郎!!の巻」は、大空家にやってきた親戚の男が実は女で、男装をしていたことが判明。ふたりの変態(?)に囲まれて生活する事になった耕作くんの憂鬱な日々は続く……と、唐突に終わります。最後の言葉は「少年漫画は死んだッ……」。

 そんな結末から27年後の2020年2月、『ストップ!!ひばりくん!コンプリート・エディション3巻』(小学館クリエイティブ)で、ラスト5ページが書き加えられ、これが完全版として同作は「完結」を迎えています。

(石原ヒサトシ)