『鬼滅の刃』に登場、“藤の花”は人間にも毒? 伊之助の好物、天ぷらにすれば食べられる!
『鬼滅の刃』で、藤は鬼を撃退することができる特別な植物。実は、藤の花は人間にとっても毒なのです。藤の毒は、どのようなものなのでしょうか。そして、藤以外にもある、日本で本当に使われていた有毒植物とは……?
『鬼滅の刃』でのカギとなる“藤の花”には、本当に毒があった!?
『鬼滅の刃』において、特別な植物といえば藤です。岩柱・悲鳴嶼行冥がかつて住んでいた地域では鬼除けに藤のお香を使っていましたし、蟲柱・胡蝶しのぶは藤の花の毒で鬼を倒しました。しかし、春になると美しく、たわわな花房をつけ、甘い香りを漂わせる藤に毒があるなんて……「物語の中でだけでしょ」と思われる方も多いかもしれません。ですが、藤の花は人間にとっても毒であることが分かりました。
この記事では、藤の毒とは、どのようなシチュエーションで、どのような症状が出るものなのか……など、藤の毒に関する情報と、日本で本当に使われていた有毒植物についてご紹介します。
●作品中に見る鬼と藤の関係
まずは、『鬼滅の刃』で藤の毒がどのようなシーンで使われているか、おさらいしてみましょう。
初めに藤についての話が出るのは、鬼殺隊に入隊するための最終選別を行う藤襲山(ふじかさねやま)でのことでした。生け捕りにした鬼たちは、山のふもとから中腹にかけて、本来は春が時期であるにも関わらず、一年中狂い咲いている藤の花のせいで、逃げ出すことができません。ここでは、理由は書かれておらず、「鬼共の嫌う藤の花」とされています。
続いては、鼓を使う鬼(響凱)の屋敷にいた稀血の子供、清らを助けた時。清のために、「鬼除けになるので」と、カラスが藤の花の香り袋を吐き出しました。
さらに、前述したように、岩柱・悲鳴嶼行冥がかつて身寄りのない子供たちの世話をして暮らしていた地域では、夜は藤のお香を焚いて、鬼が家に入ってこないようにしていたという描写があります。
そして、胡蝶しのぶの剣や、上弦の弐・童磨との死闘でも藤の花の毒が使われました。
これらのエピソードから、「鬼は自分の体に藤が毒であることを知っているため、藤の香りを嫌がる」ということが分かります。
●藤の花は食べられるけれど…
実は、藤の花は、咲き誇る姿と香りを楽しむだけではありません。天ぷらや砂糖漬け、ジャムなどにして、十分に加熱すれば食べることができるのです。
しかし多量に食べると、レクチン(糖鎖に結合活性を示すタンパク質の総称)により、吐き気や頭痛、めまいを引き起こし、重症になると胃腸炎になるといいます。
生のマメ科植物が血液を凝集する毒性を持つのもマメ科のレクチンによる作用であり、マメ科フジ属のつる性落葉木本である藤にも当てはまります。つまり、藤の花は食べられますが、食べる際には、十分に注意が必要です。
●魔除けとしての藤の花
日本では古くより、藤の花には、魔除けの力があるとされてきました。藤の発音が「不死」「不二」と通じることから、縁起の良い花だと考えられたのが、その理由です。
また、たわわな藤の花房は子孫繁栄の象徴とされることもあり、これらのことから、人間に害をなす悪霊や悪いものを除く力があるとされました。