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平成に起きたキャラ人気投票の“悪ノリ” 『ポケモン』コイル以外にも?

ネットの登場でマンガの人気キャラへの投票が気軽にできるようになった反面、「第一次コイルショック」のような「悪ノリ」も起こりやすくなりました。本稿ではそんなここ十数年で生じた人気投票の悪ノリとその後について解説します。

「コイルを1位にしようぜwwww」 ネット民の「悪ノリ」が起こした不思議な現象

人気投票の時に脚光を浴びる「コイル」 (C)2021 Pokemon. (C)1995-2021 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.
人気投票の時に脚光を浴びる「コイル」 (C)2021 Pokemon. (C)1995-2021 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.

「第一次コイルショック」と呼ばれる騒動があります。覚えている方も多いかと思われますが、その後の投票企画に大きな影響を与えた騒動として今なお語り継がれています。

 2008年の夏、映画の企画として行われた子供向けポケモン人気投票において、ピカチュウなどの人気ポケモンを差し置いて、コイルが堂々2位を獲得したのです。この何が「騒動」だったのか。コイルがたまたま人気だっただけではないのか? こうした善意の解釈の余地はなく、ネット民たちの「悪ノリ」による組織票だったことが判明しました。結果としてコイルは2位という結果に。決して褒められた行為ではありませんが、少なからず主役扱いされることのなかった「コイル」が注目を集め、再評価につながったことは怪我の功名かも知れません。

●「第2次コイルショック」と呼ばれる『イナズマイレブン』は意外な方向に

「第一次コイルショック」から2年後の2010年。再び人気投票における「悪ノリ」が発生することになります。今回、ネット民の標的とされたのはレベルファイブ制作の超次元サッカーゲーム『イナズマイレブン』における人気投票企画。こちらでも業の深い掲示板ユーザーが結束したのです。日本の価値観に何らかの革命が起こらぬ限り1位を獲得しないだろう五条勝というキャラを組織票によって1位にさせようというノリが発生。結果、思惑通り、五条が2位に7倍近い得票差をつけて1位を獲得しました。これには『イナズマイレブン』ファンも激怒し抗議の声をあげる事態に発展。他方、制作陣からは「大きな反応があった」こと自体は歓迎する旨の声明を発表されるなどしました。こちらの騒動は、連続性から「イナズマイレブンショック」ではなく「第2次コイルショック」と呼ぶ向きが強いようです。

 そんな「第2次コイルショック」ですが、ここから意外な展開を見せることに。制作陣たちの冷静は受け止めもあってか、以降、レベルファイブにおける人気投票企画は「悪ノリ」自体も楽しむものとして定番化。2013年に開催されたレベルファイブ15周年の「総選挙」においては『イナズマイレブン』含む強豪ゲームたちにキャラクターを差し置いて「飛行機」(『AERO PORTER』という空港を舞台にしたゲーム)が1位に。こちらも上記2件同様、「悪ノリ」にも思えますが、そもそも「飛行機」がエントリーしている時点でどこか運営側との緩やかな共犯関係が構築されたものとみても良いかもしれません。

●「悪ノリ」の逆 たった1人で1500票を投じた「千葉県のYさん」

 ここまで紹介してきたネット民の組織票を使った「悪ノリ」とは真逆の珍事件も発生しています。「週刊少年ジャンプ」で連載されていた『ニセコイ』(著:古味直志)で開催された人気投票で異彩を放ち続けた「千葉県のYさん」による大量投票です。「Yさん」はサブヒロインである橘万里花を1位にすべく、手書きで1500票を投票。その熱量は凄まじく、読者はもちろん業界内でも有名な存在に。『ニセコイ』最終話ではYさんらしき人物への言及するシーンまで。ネットの登場で「組織票」が容易になったなか、「個」の力を見せつけてくれた「Yさん」には畏敬の念が集まりました。

 ここまで「第一次コイルショック」以降の代表的なネット民の「悪ノリ」事案をみてきました。当初は「悪意」あるものだった組織票も、徐々にネットカルチャーとして新しい受容のされ方が生まれつつあるようです。とはいえ人気投票はあくまでもファンの気持ちを知るために開催されるもの。マインドだけは「Yさん」でありたいものです。物理的には不可能であろうと。

(片野)

【画像】人気投票で注目を浴びた「千葉県のYさん」が愛するヒロイン

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