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日本アニメと縁のある『白蛇:縁起』上映へ 技術も給与も高い中国アニメ界の躍進

日本アニメを観て育った中国のクリエイター

『白蛇:縁起』で、白蛇の姿となったハクが描かれるシーン
『白蛇:縁起』で、白蛇の姿となったハクが描かれるシーン

 現在の中国アニメ界で活躍しているクリエイターたちは、規制が緩やかだった1980~90年代に、日本のアニメ、マンガ、ゲームなどのポップカルチャーに触れながら育った世代が中心になっているといわれています。『白蛇:縁起』を観ても、宮崎監督の『もののけ姫』(1997年)などからの影響を感じさせます。また、ファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・リング』(2001年)や『アバター』(2009年)といったハリウッドのメガヒット作も、よく研究していることがうかがえます。

 水墨画を思わせるオープニングシーンなど、中国文化ならではの表現も取り入れられており、物語のスケールの大きさも特筆されます。宮崎駿監督作やディズニー&ピクサーアニメに比べると、まだ洗練されきっていない部分は感じさせますが、中国アニメ界の躍進ぶりを充分に感じさせる意欲作です。

 東映動画の『白蛇伝』ではヒロイン・白娘のお供だった小青は、『白蛇:縁起』ではハクのやんちゃな妹・セイ(CV:佐倉綾音)として登場します。『ナタ転生』のエンディングを見ると、セイが活躍するスピンオフ作品も企画されているようなので、『アベンジャーズ』(2012年)のような連作シリーズになっていくのかもしれません。

才能ある人材が集まる中国アニメ界

 日本のアニメ界は、海外も含めると2.5兆円市場となっています。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』や『シン・エヴァンゲリオン劇場版』などの大ヒットで活況を帯びている日本のアニメ界ですが、中国のアニメ界はすでに3兆円市場といわれています。動画配信のプラットホームが整備されている中国アニメは、今後ますます市場を広げていきそうな勢いです。

 市場が大きいだけに、中国で働くアニメーターたちの給料もよく、アニメーター志望の若者たちが多いそうです。2021年3月に出版された日経プレミアシリーズの新書『安いニッポン 「価格」が示す停滞』(日本経済新聞出版)には、「中国の求人サイトによると、アニメーターの平均月収は杭州が3万4062元(約52万円)で、北京は約3万元(約45万円)だった」と記されています。

 これは日本のアニメーターの平均収入を上回ります。将来性のある分野に、才能のある人材は集まるもの。日本のアニメ界は、給与体系を根本的に見直すべき時期に来ているのではないでしょうか。

 長年にわたって懸念されていた海賊版がアジア各国に出回っていた問題も、「良いアニメは高画質なもの、正規の作品を鑑賞したい」という中国のアニメファンが増えてきていることで、是正へと向かいつつあるようです。

 面白い作品なら、国境に関係なく楽しめるのが、アニメーションの素晴らしさです。日本のポップカルチャーと中国文化とが、いい形で影響しあう関係になっていくことに期待したいと思います。

(長野辰次)

(C)Light Chaser Animation Studios (C)Bushiroad Move. (C)TEAM JOY CO., LTD.

【画像】中国CGアニメの到達点?『白蛇:縁起』の映像美(11枚)

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