マグミクス | manga * anime * game

「ジャンプ」若い人は知らない、アニメ鎖国時代 「開国」へ導いたヒット作とは?

「鎖国」を「開国」へと導いたものは?

 この出来事がきっかけか分かりませんが、この後から「ジャンプ」作品のアニメ化はしばらくありません。その前後のアニメ化の流れから考えると、まるでアニメとは「鎖国」ともいえるほど距離の離れた関係が続いていきました。これに関して編集部としては、作品をTVアニメで無料放送することで読者が満足し、その結果、雑誌やコミックが売れなくなると懸念していたそうです。

 この間も「ジャンプ」はいくつものヒット作品を生み出していました。『アストロ球団』、『包丁人味平』、『ドーベルマン刑事』などです。なかでも『ドーベルマン刑事』は千葉真一さん主演で映画化、黒沢年男さん主演でTVドラマ化されました。

 また、これ以上に世間で話題になったのが、「スーパーカーブーム」を呼び起こした『サーキットの狼』です。この作品も実写映画化はされましたが、アニメ化はされておりません。この時期、各社がこぞってスーパーカーを扱ったアニメ作品を作ったのですが、本作はプラモデルが販売されただけで、それ以上の展開はされませんでした。

 この『サーキットの狼』同様に、連載当時に大ヒットしたのが車田正美先生の『リングにかけろ』でした。どれくらいの人気作だったかというと、「集英社ビルが改装できたのも『ジャンプ』が300万部突破できたのも『リンかけ』人気のおかげ」と、車田先生本人がマンガのネタにしたくらいです。当時はアニメ雑誌が創刊ラッシュだった時代で、そのアニメ雑誌の投稿欄にもファンから『リングにかけろ』のアニメ化希望は多く寄せられていました。

 他社の人気マンガですと、アニメ化されていても不思議ではないほどのヒット作を輩出しながらも、かたくなまでにアニメ化を敬遠してきた「ジャンプ」。ですが、とあるきっかけから人気作品のアニメ化に舵を切ります。その作品が『Dr.スランプ』でした。

 このアニメ化にも紆余曲折あります。もともとは長寿アニメ『一休さん』の後番組として東映動画(現在の東映アニメーション)がテレビ朝日と企画したのですが、編集部側はOKを出しませんでした。その後、この企画をこのまま立ち消えにするのは惜しいと思った東映動画は、フジテレビと旭通信社(現・ADKホールディングス)に企画を持ち込みます。そして、アニメ化に熱意のあったフジテレビ側に押し切られる形になり、最終的に経営判断という形で編集部が折れてアニメ化が決まりました。

 しかし、編集部側もアニメ化に対して主導権を渡さないように、当時の『Dr.スランプ』担当編集者の鳥嶋和彦さんにアニメに関しての契約、台本、キャラクターのチェック、コントロールを任せます。これが後の「ジャンプ」主導によるアニメ化システムになっていきました。

 その後、TVアニメ『Dr.スランプ アラレちゃん』は予想以上のヒット作品となり、「ジャンプ」編集部の方針は180度転換、アニメ化に積極的な方角へと舵を切ることになります。この結果、「ジャンプアニメ黄金期」とも言える時代を迎え、現在のようなヒットアニメの連載元という立場を確立しました。ちなみにその後、前述の『リングにかけろ』も連載終了から20年以上経ってからTVアニメ化されることになります。

 今の「ジャンプ」アニメが次々と製作される時代からは想像もできない時代でした。もしも『Dr.スランプ』がアニメにならなかったら、確実にその後の時代は大きく変わっていたことでしょう。

(加々美利治)

1 2

加々美利治関連記事

もっと見る

編集部おすすめ記事

マンガ最新記事

マンガの記事をもっと見る