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12月4日は「ティターンズ」結成の日。作中で露呈し続けた「組織崩壊の原因」とは?

宇宙世紀シリーズで珍しい地球連邦軍の悪役「ティターンズ」。傍若無人な行動が目立ちますが、それは創設者であるジャミトフの思惑とはズレていました。なぜジャミトフの計画は失敗してしまったのでしょうか?

地球圏の動乱が生んだエリート組織

ティターンズ創始者のジャミトフが表紙に描かれる、マンガ「機動戦士Zガンダム Define シャア・アズナブル 赤の分水嶺」17巻(KADOKAWA)
ティターンズ創始者のジャミトフが表紙に描かれる、マンガ「機動戦士Zガンダム Define シャア・アズナブル 赤の分水嶺」17巻(KADOKAWA)

『機動戦士Zガンダム』の敵組織として登場した「ティターンズ」。地球出身のアースノイドで構成された「地球至上主義者」の集団で、宇宙に住むスペースノイドを弾圧します。しかし、その真の目的は別にあったのでした。

 ティターンズの結成は宇宙世紀0083年12月4日のことです。その直前、『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』で語られた「デラーズ・フリート」による「デラーズ紛争」があり、ジオン公国軍残党がいまだに脅威であることがわかったことが結成のきっかけでした。もちろん、この作品自体が後年に作られたつじつま合わせではあります。

 こうしてジオン公国軍残党を掃討することを目的に作られたティターンズでしたが、その真の目的は違うところにありました。創設者であるジャミトフ・ハイマンはジオン残党のせん滅を口実に、自分の野望を叶えるためにティターンズを結成していたのです。その野望とは、地球の環境を再生することでした。皮肉にもそれは敵対することになる反地球連邦組織「A.E.U.G.通称エゥーゴ」と最終的な目的の面では一緒だったのです。

 大きく違っていた点は、その目的のためにジャミトフは手段を選ばなかったこと。それゆえにティターンズは地球連邦政府のなかでの勢力拡大のため、実戦部隊のトップに強硬派のバスク・オムを置き、数々の非道な作戦を実行していきました。

 また、ティターンズの兵士は一般将校より1階級上で、一般の軍律は通用しないと言って階級が上のブライト・ノアを集団暴行するなど、高いエリート意識ゆえの横暴な態度がしばしば描かれています。このほかにも、人質作戦や暗殺、民間施設の破壊といった軍組織としてはあるまじき行為。コロニーレーザーやG3ガス、核兵器の使用といった大量破壊兵器を平然と使用するなど、おおよそ国家の軍隊の行動として眉をひそめることを行っていました。

 しかし、こういった行動のほとんどがバスク率いる一部の過激派の仕業だと言われています。ティターンズのなかにはエリートとして志の高い者もいる可能性がありました。例えば、ダカール駐留のティターンズ兵士には民間人に迷惑をかける連邦兵をたしなめたり、街中で戦闘を続ける自軍機を制止したりするなど、軍人としての矜持(きょうじ)を持つ者もいたからです。

 情報操作により前述したような非道な行為を隠していったティターンズでしたが、宇宙世紀0087年11月6日のダカールの議場で、エゥーゴのクワトロ・バジーナことシャア・アズナブルの演説でそれが露見し、急速に地球連邦内での勢力を減少させてしまいます。

 そして、宇宙世紀0088年1月25日に指導者であるジャミトフが暗殺され、エゥーゴだけでなくアクシズとの三つ巴の戦いが宇宙世紀0088年2月20日に勃発。ここで敗北したことで組織は瓦解することになりました。これが後に「グリプス戦役」と呼ばれる戦いです。

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