『ジョジョ』のスタンド戦に巻き込まれた一般人たち 「理不尽」は突然襲いかかる!
無差別に人を「ゾンビ」にしていくスタンド
●第7部…ヴァレンタイン大統領に「災厄」を押し付けられた人々
第7部終盤、黒幕・ヴァレンタイン大統領の多次元を行き来する無敵のスタンド「D4C」が、「聖なる遺体」そのものとなったルーシー・スティールの能力と合わさって、「D4C-ラブトレイン-」に進化を遂げます。これはいろいろとややこしい部分も多いスタンド能力なのですが、端的にいうと「ルーシーを中心とした『空間のすき間』にこの世の『吉良(きちりょう)なもの』が集まってきて、それ以外の『災厄』は別のどこかにはじき出される」というもの。つまり、ルーシーと彼女を手中に入れている大統領への攻撃は当たらず、世界のどこか別の人に「災厄」となって降りかかってしまうのです。
この能力によって、ジョニーとジャイロの攻撃は大統領を外れ、そのたびに彼らの目の前に何の罪もない農夫たちの頭が破壊されたり、誰かが鉄筋に押しつぶされたり、子供が戦争で殺されたり、馬車が大勢の人を巻き込む事故を起こしたりと、恐ろしいビジョンが映し出されます。この戦いでいったい何人が「災厄」を押し付けられたのか……。彼らも、遺族もなぜ死ぬ羽目になったのか永遠にわからず、浮かばれないことでしょう。
●第8部…ドロミテに「自動追尾ゾンビ」にされてしまった杜王町民たち
第8部の敵・岩人間たちのスタンドのなかでも特に恐ろしかったのが、六壁神社の池に住む「ドロミテ」こと泥駒政次の「ブルー・ハワイ」です。名前だけはさわやかですが、この能力は本体のドロミテの体液に触れた人間をゾンビ化させ、ターゲット=東方定助を追いかけ続ける自動追尾マシーンにするという恐ろしいもの。ゾンビ化できる生物は1体ずつですが、一滴でも体液が接触すると別の人がゾンビ化して襲い掛かってくるので、ほとんど逃げようがありません。おまけにゾンビたちは自分の体が壊れてもお構いなしに、直線で向かってきます。
そして、ドロミテがこのスタンドを発動させた結果、ただの通りすがりの少年たちや、普通に生活していた女性、男性、そこからハエにも感染し、いたいけな赤ちゃんまでゾンビ化してしまうのです。扉を開けるために自分の体を破壊しながら這って定助に向かってくるゾンビ赤ちゃんは、『ジョジョ』屈指のトラウマ描写でした。感染した人びとは、良くて再起不能、おそらく死亡したと思われます。
ドロミテ自身は誰に感染するのか把握していませんが、関係ない人をいくら巻き込んでもOKと考えているがゆえに発現したスタンドであり、かなり邪悪な男と言えるでしょう。
『ジョジョ』作中で被害に遭った一般人たちは他にもたくさんいます。名前があるキャラでも、あの夜エジプトにさえいなければ勝ち組人生を続行できていたであろうウィルソン・フィリップス上院議員や、いきなり殺された上に奥さんが自分に化けた殺人鬼に惚れてしまった川尻浩作など、一般の人に突然襲いかかる容赦ない理不尽が印象的に描かれています。
(マグミクス編集部)