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プロ野球を席巻した魔球投手、『侍ジャイアンツ』の番場蛮 スタッフには宮崎駿、大塚康生氏も

プロ野球の開幕が近づいてきました。プロ野球を題材にしたTVアニメとして、『侍ジャイアンツ』を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。背番号4を背負った巨人軍の新人投手・番場蛮は、「ハイジャンプ魔球」を皮切りに次々と新魔球を編み出していきます。蛮の破天荒さが人気だった『侍ジャイアンツ』を振り返ります。

型破りなヒーロー、その名は番場蛮!

アニメ『侍ジャイアンツ』Blu-ray BOX(エイベックス・ピクチャーズ)
アニメ『侍ジャイアンツ』Blu-ray BOX(エイベックス・ピクチャーズ)

「背番号4 ピッチャー 番場蛮」

 日本のスポーツアニメ史上、もっともインパクトがあり、覚えやすい名前ではないでしょうか。「週刊少年ジャンプ」に連載された『侍ジャイアンツ』(原作:梶原一騎、作画:井上コオ)は、主人公・番場蛮(ばんば・ばん)がプロ野球界で大暴れする野球マンガでした。1973年10月から1974年9月まで、日本テレビ系でTVアニメシリーズが放映され、番場蛮の破天荒さは当時の子供たちに強烈な印象を与えました。

 番場蛮は土佐の漁師の息子として生まれ、幼い頃から漁を手伝っていたことから並外れた身体能力を誇っていました。「威張ったやつが嫌いだ」と公言する蛮ですが、高校野球で見せた豪速球と野武士のような豪放な性格を川上哲治監督に見込まれ、巨人軍に入団します。

 当時の巨人は長嶋茂雄選手、王貞治選手らを擁する常勝軍団でしたが、レギュラーが固定され、若手選手が台頭できないというジレンマも抱えていました。そんな巨人軍にあって、番場蛮はサプライズな魔球を次々と編み出し、大旋風を巻き起こします。名前のとおり、型破りなヒーローでした。番場蛮の武勇伝を、どどんと紹介します。

峰不二子にそっくりなヒロイン

 9年連続で日本シリーズを制した巨人軍と同様に、TVアニメ『侍ジャイアンツ』もそうそうたるスタッフが集結していました。キャラクターデザイン&作画監督は、伝説のTVアニメ『ルパン三世』(日本テレビ系)を手掛けた大塚康生氏です。第1話の原画には、宮崎駿氏の名前もクレジットされています。第1話で蛮がクジラと対決するシーンは、『未来少年コナン』(NHK総合)の第1話を彷彿させます。また、蛮が憧れるヒロイン・美波理香は、峰不二子そっくりな女傑キャラとなっています。

 梶原一騎原作のスポーツアニメに、宮崎駿氏が関わっていたというのは意外ですが、もっとも宮崎氏は翌年1月から放送が始まった裏番組『アルプスの少女ハイジ』(フジテレビ系)に早々に移ることになります。大塚氏も作画監督を途中から離れたそうです。もしも、宮崎&大塚コンビが『侍ジャイアンツ』のシリーズ後半まで残っていたら、蛮はさらに破天荒なキャラになっていたかもしれません。

 演出は、元祖スポ根アニメ『巨人の星』(日本テレビ系)で知られる長浜忠夫監督です。絵コンテには、富野由悠季(当時は富野喜幸)氏も参加していました。のちに富野由悠季氏は『機動戦士ガンダム』(テレビ朝日系)を大ヒットさせ、ロボットアニメの常識を大きく打ち破ります。

 主題歌「侍ジャイアンツ」とエンディング曲「サムライ番場蛮」を歌ったのは、「アニキ」こと水木一郎氏でした。「サムライ番場蛮」の一節「カエルのつらに しょんべんだ」は、多くのファンが口ずさんだことでしょう。

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