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ファミコン時代の名作『FFII』『DQIV』、どっちが泣けた? 語り継がれる物語を振り返り

ファミコン時代に広く知れ渡ったRPGは、わずか数年だけでも大きな進化を遂げました。特に物語に感情移入させる描写は卓越しており、ファミコンのグラフィックでもしばしば泣かされたほど。今回は、その中でも代表的な2作品を振り返ります。

ファミコン少年たちが涙したワケ

画像はAndroid版『ファイナルファンタジーII』(スクウェア・エニックス)
画像はAndroid版『ファイナルファンタジーII』(スクウェア・エニックス)

『ウィザードリィ』などの名作がコンピュータRPG(以下、RPG)の道を切り開き、国内では『ドラゴンクエスト』(以下、DQ)や『ファイナルファンタジー』(以下、FF)の存在が同ジャンルの普及に貢献しました。

 RPGを知らなかった当時のゲーム少年たちは、『DQ』や『FF』でその基本に触れ、魅了されます。そして、どちらのシリーズも作品数を重ねるごとに奥深さを増し、進化を遂げていきました。

 特にシナリオの進化は目覚ましく、物語に没頭するユーザーも続出。グラフィック表現に限界のあるファミコン時代ですら、作中のドラマに涙腺を刺激されたものです。

 思わず泣かされた作品はプレイヤーによってまちまちですが、ファミコン時代のRPGだと、特に『DQIV』と『FFII』に涙した方が多く、心を震わせた名作として知られています。いずれも親しい者の死を通して感情を揺さぶりますが、扱い方や切り口には大きな違いがあり、そのため「どちらがより泣ける作品なのか」とよく話題に上がったものです。

 この『DQIV』と『FFII』は、どのように涙腺を刺激したのか。名作の泣きポイントを、要点を押さえてお届けします。

●背中で語る男たちの生き様に涙した『FFII』

 敵と戦うことが多いRPGは、死と隣り合わせにあります。しかし、ゲームなのでちゃんと遊べば勝てますし、仲間が死んでも魔法や施設などで復活可能です。

 こうしたRPGのルールになじみ始めたプレイヤーの心を撃ち抜いたのが、『FFII』です。本作では一般のキャラだけでなく、パーティメンバーですら回避できない「死」に見舞われます。仲間が死んで復活できない、という状況に慣れていなかった当時の少年少女は、思わぬ悲劇に幾度も涙を流しました。

 最初に命を落とした仲間は、素手で戦う「ヨーゼフ」。戦闘力はかなり高く、仲間入りした彼の頼もしさは格別でした。しかし、主人公たちを守るために転がる大岩をひとりで受け止め、その下敷きに……信頼にどこまでも応えてくれた彼が、まず帰らぬ人となります。

 序盤の一時期だけ仲間になった「ミンウ」は、まだ主人公たちが満足に育っていない頃、会得済みの白魔法で力強くサポートしてくれました。いつか彼のように白魔法を使いこなそうと、密かな目標にした方も多いはず。ですが、ミシディアの塔で再会した時、究極魔法の封印を解くため、ミンウは持てる力の全てを使い果たして絶命します。白魔法で、多くの命を救ったミンウ。そんな彼を救う白魔法だけは、どこにもなかったのです……。

 竜騎士の「リチャード」も、パーティ加入時点ですでに高い戦闘力を誇り、主人公らを大いに助けてくれます……その最後の瞬間まで。恐るべき皇帝との戦いの際、勝ち目がないことを悟った彼は、単身で強敵へと立ち向かいます。それは全て、主人公たちを逃がすため。竜騎士の気高さは、死を前にしても決して揺らぎませんでした。

 一般のキャラだけでなく、パーティメンバーですら命を落とした『FFII』。しかも命を落とした3人は、いずれも壮年の男性ばかり。言葉少なく、その背中で多くのことを語った彼らの生き様が、プレイヤーの頬を濡らしました。

【画像】『FFII』と『DQIV』で涙を流した記憶が蘇る名シーンたち(6枚)

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