とらのセリフで号泣…『うしおととら』感動の名場面 十郎の最期、真由子の涙が切ない
「週刊少年サンデー」で連載されていた名作マンガ『うしおととら』。少年・うしおと妖怪・とらのコンビが力を合わせて妖怪と戦う同作には、「涙を誘う名シーン」も多数盛り込まれています。今回は、ファンの間で話題を呼ぶ「『うしおととら』の泣ける名場面」を紹介します。
別れのシーンに涙が止まらない

『からくりサーカス』や『月光条例』などの藤田和日郎先生の初連載作品にして、名作と名高い『うしおととら』は、「涙を誘うシーンが多い」とファンの間で今でも話題になっています。どのようなシーンが読者の心を動かしたのでしょうか。
※この記事では『うしおととら』の終盤の展開に触れています。ご了承の上お読みください。
人間たちのドラマだけでなく妖怪の物語も泣ける『うしおととら』では、特に鎌鼬(かまいたち)の三兄妹のエピソードが人気です。人間による自然破壊で住処を追われた鎌鼬の次男の十郎は、兄の雷信や妹のかがりから離れて人間を攻撃するようになっていました。雷信たちの頼みで十郎と戦ったうしおは、彼らの事情も知り、岩に押しつぶされそうな状況で十郎に「わるかったなあ。つらかったろうなあ」と涙を流しながら語り掛けます。
その後、人間たちが兄妹を救ってくれたのを見た十郎は、かつての優しい顔に戻った後、自ら妖怪を倒す「獣の槍」に飛び込んで死んでいきました。「もうこの世にオレ達の生きる場所は…ないのかもな……」と言って消え、最後に「雷信兄さんやかがりとずーーーっと、三人で暮らせたらいいなあ」と笑う十郎が描かれるこのエピソードは、「寂しくも兄妹の絆が感動的な話」「誰かのために、本気で泣けるうしおがかっこいい」と人気を集めています。
その他、最後に母を守ったヤクザ者・徳野の死や、ヒロインの麻子や真由子をはじめ、かつてうしおに助けられた少女たちが「獣の槍」の影響で妖怪になりかけているうしおの髪を命がけですいていく場面、「獣の槍」誕生の理由に隠されたジエメイやギリョウの悲しすぎる物語、雪女「垂(しずり)」と人間・佐久間の恋、列車に取りついた妖怪・山魚との戦いで気弱な少年・野村が勇気を振り絞る瞬間、くらぎを倒した後に「みんな……仲良うせんとーーあかんよーー」と息を引き取る日崎御角の最期、視力を失った少年・みのると妖怪・さとりの恐ろしくも悲しい絆など、数々の名エピソードが挙げられていました。
また、ラスボスの大妖怪「白面の者」との最終決戦は、名シーンの宝庫です。特に人気なのは、とらが白面の者の攻撃を受けて動けなくなってしまった際、真由子がとらの元へ駆けつけて「私を食べるっていってたよね… 必ず食べてね。食べないうちにどっか行っちゃ…… やだよ…」と語りかける場面でした。とらは「あったりめぇだ、食ってやらァ。うしおの次にな!」と返答。しかし、とらがもううしおを食べようとしていないことを知っている真由子は、「それじゃ… とらちゃん… 私をずぅーっと食べないつもりだねぇ」と涙を流します。そして最後は「好きだよ… 大好き…」と言って、自身の想いを告げました。「真由子の健気で純真なセリフに泣いてしまった」「とらの『うしおの次にな』っていうセリフからも、真由子を大切に思う気持ちが伝わってきて感動」と、屈指の名場面として人気を集めています。
最後のとらとうしおの別れのシーンも必見です。見事白面に勝ったものの、力を使い果たしたとらは徐々に体が消失していきます。そして、うしおはとらに「まだ死ぬんじゃねぇ。まだオレを喰ってねえだろうがよォ」と泣きすがるのです。
そんなうしおに、笑顔で「もう… 喰ったさ。ハラァ… いっぱいだ」と告げて消えていったとら。切ないシーンに「涙が止まらない」「とらのひと言で、万感の思いがこみ上げてきた……」と、最後まで号泣させられた人が多かったようです。
最終決戦では、その他にも妻子の復讐を遂げたヒョウ(実際の表記は金+票)の安らかな最期の場面や、裏切って白面側についた孤独な天才・秋葉流が、とらと全力で戦った後に「風が…やんだじゃねえか…」と満足げに死んでいく場面、キリオとホムンクルス・九印の別れのシーンなども支持を集めていました。他にもまだまだ挙げきれないくらいの名シーンがある『うしおととら』は、多くの人の大切な一作として長く愛されています。
(マグミクス編集部)