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歴代ガンダムで最も「アンチ」多かった? 新世紀のスタンダード目指した『SEED』誕生から20年

『SEED』が生み出した一大ブーム

『機動戦士ガンダムSEED』の新プロジェクト『GUNDAM SEED PROJECT ignited』(C)創通・サンライズ
『機動戦士ガンダムSEED』の新プロジェクト『GUNDAM SEED PROJECT ignited』(C)創通・サンライズ

 このように新世紀のガンダムとしてさまざまな改変が行われた『SEED』。もちろん製作側の刷新だけでなく、物語も『ファースト』を単になぞったものにならず、スタンダードでありながら斬新で新世紀に相応しい作品となりました。

 印象的なオープニング曲とエンディング曲。人気声優を中心にしたキャスティング。時には過激と言われるほどの映像など、随所にこれまでと違ったガンダム作品を意識させる意欲作となります。

 こういった意欲的な作風は多くの熱狂的なファンを生みますが、同時に反発する「アンチ」と言われるような層も生むことになります。私見ではありますが、ガンダムシリーズでもっともファンとアンチの対立を散見するのが『SEED』でした。これも注目を集める作品ゆえの有名税の一種かもしれません。

 しかし、アンチが多いのも分母となるファン層が大きいことが理由でしょう。たとえば「『SEED』は女性ファンばかり」という言葉をよく聞きます。確かに女性で『SEED』好きな人はよく目にしますが、けっしてそればかりではありません。

 たとえば放送当時、『SEED』のガンプラは売り切れが出るほど人気商品でした。これは当時のガンプラがマニア向け方向に進化していったのを危惧したバンダイが、『SEED』ではSD世代と呼ばれる小学生向けにもシリーズ展開したことが功を奏したのです。この「1/144 SEED コレクションシリーズ」は関節などを犠牲にしたものの、300円と安価でパーツ数も少なく組み立てやすいキットとしてヒットしました。

 この入門用キットというべきガンプラが閉塞的だった間口を広げ、結果的に次のステップへ進むことでガンプラ人口を増やしたと言われています。当時のバンダイからは「『ファースト』の頃のガンプラブーム以来のブーム」と言われ、第二次ガンプラブームと呼ばれるほどの業績を記録しました。この点を振り返ると、『SEED』は女性層だけでなく、小学生にも人気があったことがわかります。

 また映像ソフトの売れ行きも記録的なヒットでした。その売れ行きが好調だっただけではありませんが、続編『SEED DESTINY』の放送前にTV版の総集編である『スペシャルエディション』が3部作として製作されます。この『スペシャルエディション』では新作カットも加えられるなど、続編への期待感を盛り上げる役目も果たしました。

『SEED』の場合はこれだけでなく、「HDリマスタープロジェクト」という現行の放送形態に添ったリメイクが成されています。この仕様では総集編を省くことで話数の変更をしたほか、続編『DESTINY』への伏線となるカットも追加され、パーフェクトストライクといった新仕様も登場しました。

 こうして放送終了後もさまざまなアプローチがされてきた『SEED』。2021年には海外では初めてとなる実物大立像として本作の主役機「フリーダムガンダム」が中国・上海に建造されました。そして公式発表されながら長い間沈黙していた新作劇場版が、新プロジェクト『GUNDAM SEED PROJECT ignited』として発表されています。

 新世紀のスタンダードとして製作された『SEED』は、まだまだこれから先もガンダムシリーズをけん引していく人気作品となっていくことでしょう。

(加々美利治)

【画像】上海の「フリーダム」立像が1/100で立体化!(6枚)

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