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ゲーム開発者が憂鬱な「クリスマス商戦」 休めないのは「年末」だけじゃなかった?

過酷な状況「デスマーチ」はいつ始まるのか?

2020年12月にPlayStation 4向けに発売された『サイバーパンク2077』は、当初さまざまなバグや不具合が報告され、それらを修正するアップデートが続けられた
2020年12月にPlayStation 4向けに発売された『サイバーパンク2077』は、当初さまざまなバグや不具合が報告され、それらを修正するアップデートが続けられた

 さて、実質のゲーム完成が9月末だからといって、そこまで作り続けることはできません。なぜなら、1か月ほどかけてデバッグをするからです(ここを手抜きした会社がいたというのが、先ほどの余談です)。デバッグの目的は「これで完成にしたいからミスを修正します」なので、通常ここで要素は追加しません。

 逆に、要素の削除はあり得ます。問題の修正に時間がかかりすぎるため、その機能をオミットしてしまうことがあります。いずれにしろデバッグが始まる時には、たとえバグだらけでもゲームの全要素が揃っていることが求められます。これが8月末です。

 ではデバッグまでの期間は何をするでしょうか? 8月の1か月間は、これまでグラフィック、サウンド、ボイス、スクリプトなど、さまざまな部署で並行して作っていたもの、言わば「部品」をまとめる時期です。

 これは開発体制、ゲームのジャンル、内容によっても変わりますが、RPGを例に取ると、全部の街や村のなかはできているがフィールドとはつながっていないとか、ショップ処理は別の人が作っているのでまだ動かないとか、そういう状態のものを全部つなげて動くようにするイメージです。

予期せぬトラブルは当然起き、担当者は調整に追われます。このころから「デスマーチ開始」と言われたりします。泊まり込みで睡眠もろくにできず休日もなしという、大きな声では言えない過酷な状況が始まるという意味です。

 ……というわけで逆算はここまでとしましょう。これ以前は案外平和なものです。なお各工程はここまで明確に分かれていません。予定がずれ込むなどしょっちゅうです。でも大体こんな感じで進んでいきます。

 さて、ここまでで何かに気づきませんか? そう、「夏休み」がありませんね!

 休みどころかデスマーチの真っ最中です。つまりクリスマス発売のゲームを開発すると、夏休みが潰れるというわけです。その上、発売後もどんなトラブルが起きるかわからないので、年末年始も仕事になりかねない危険と不安を抱えることになります。これでは憂鬱にもなろうというものです。

 これらは筆者の経験を元にした少し過去の話ですが、基本的には現代でも同じで、違うとしたら「デスマーチ」の有無かと思います。とはいえ、夏休みが取れたところで、肉体的にはともかく精神的には落ち着かないような気がしますね。どうか皆さん、ゲームを楽しみながら、その陰にある開発者の憂鬱に、少し思いを馳せてみてください。

(タシロハヤト)

【画像】開発者たちの苦労の産物? 2022年クリスマス発売の新作ゲームたち(10枚)

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タシロハヤト

美少女ゲームブランド「âge(アージュ)」の創立メンバーで、長らくシナリオ、演出、監督等を務める。代表作は「君が望む永遠」シリーズ、「マブラヴ」シリーズ。現在はフリーで活動中。『シャーマンキング』の作者、武井宏之氏と旧知の関係である縁から、同作の20周年企画に参加している。
https://twitter.com/tamwoo_k

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