未知との遭遇を楽しむ!『このマンガがすごい!』は信頼できるマンガ好きの友達
マンガ好きならオススメ作品を問われた経験はあるはず。でも、オススメ作品が相手の好みに合うとは限らない……。「マンガがありすぎて読みたいものがわからない」という人もいます。そんな時は“集合知”を参照するのも出会いかたのひとつ。集合知の結晶であるマンガ好きのためのガイドブック『このマンガがすごい!』(宝島社)の裏側を、編集長の薗部(そのべ)真一さんに聞きました。
700人分の“推しマンガ”を一挙にチェックできる
今や年に一度の風物詩、ランキングに入ることを目標とする漫画家もいる『このマンガがすごい!』が年度版になったのは、2006(平成18)年。ほとんどマンガを読まない人でも、書店で見かけたことが一度はあるのではないでしょうか。
編集長の薗部(そのべ)真一さんは「このランキングは700人分のマンガ好きの“好き”を集めた一冊です」といいます。
「マンガ好きの友達と飲みにいって『最近何か面白いマンガ読んだ?』と話して、そこから新しく知ることのできるタイトルってせいぜい3つ4つ。でもこのランキングでは、一度に700人のマンガ好きと会えるんです。日々新作を買ってマンガの大海原でお気に入りを探すのもいいけれど、みんながそれをできるわけじゃないですよね。だからこの“集合知”を使って自分が好きそうな作品を探して欲しいです」
薗部さんにあえての質問。ランキング発表時には、ネット上で「知らない作品ばかりランクインしている」という声もあります。どう受けとめていますか?
「2019のランキングでいえば、率直にいうと僕も半分くらいは読んでなかったんですよ。『こんな作品あったんだ』って発見するのが『このマンガがすごい!』を読む醍醐味だと思うんです。この本はそういう本だし、読者にも発見を楽しんでもらえると、作り手としても嬉しいですね」
ランキングは1位は10点、2位は9点、3位は8点……とアンケート投票で行われ、合計点によって順位が決まります。ある年には、集計結果が本当に合っているのか全て計算した読者も。もちろん結果オールクリア。ちなみに、編集部はこの方に翌年のアンケート投票を依頼したそうです。
「アンケート投票の集計方法は、全て公開しています。発表当日に記念イラストをSNSに投稿してくれる漫画家さんもいて、大勢の選者の投票で生まれたランキングをさらに大勢の人にお祭り感覚で盛り上げてもらえるのはありがたいです」(薗部さん)